向日葵の咲くおうち ⑤【雪】 (ページ3)

今日:54 hit、昨日:41 hit、合計:481,435 hit

守りたいと思える理由ページ3

目黒side

康二のおかげで事務所に所属させてもらってから、早くも半年ほどが経過した。

おかげさまで専属モデルの契約をさせてもらったり、イベントに出演させてもらったりと、それなりに忙しくさせてもらっている。

長く続けてきたカフェのバイトも、ほとんど入れなくなってきたのでやめどきかもしれない…とマスターに相談すると、快く送り出してくれることになった。

今日はそのラストの勤務日。

混雑したら困るから、お客さんには内緒なんだけどね。

目黒「いらっしゃいませ」

陽葵『れんくんっ！』

『おつかれさま』

目黒「うん、ありがとう。」

夕方頃、最後ということで陽葵とAさんが保育園の帰りに店に遊びに来てくれた。

席に案内すると、注文を通す。

ふたりはいつも同じものを注文するから、いつからか俺が勝手に注文するようになったのだ。

今日は独断でケーキもつけておいた。

俺からのプレゼントってことで。

目黒「おまたせしました」

陽葵『わぁ、れんくんありがとう！』

『ふふっ、ラテアート上手になったね？』

目黒「Aさん、もしかしてバカにしてる？」

『してないよ！』

陽葵『ママ、れんくんはずっとじょうずだよ？』

目黒「陽葵は優しいね？そんな子にはケーキをあげる」

陽葵『えっ！いいの？ありがとう！！！』

『ちょっ、蓮くん？』

目黒「ほらAさんもどうぞ？俺からのお礼だから、遠慮しないで受け取って？」

『……ありがとう』

目黒「うん、じゃあどうぞごゆっくり。」

2人で仲睦まじくケーキを頬張る姿を横目に、普段通り働いていた俺だったが裏でフード提供の準備している際に事件は起こった。

『ママ！』と陽葵の大きな声が聞こえたので、フロアに出ると尻もちを着いているAさんと寄り添いながら泣いている陽葵の姿があった。

その目の前には、同じアルバイトの女。

目黒「おい、なにしてんだよっ！」

陽葵とAさんの元へ走っていき2人の肩をまとめて抱く。

『蓮くん、大丈夫だよ？私が勝手に転んじゃっただけだから…ね？』

目黒「おい。おまえ」

見え見えな嘘をつくAさんのことは無視をして、目の前の女を罵倒しようとした俺をAさんが止める。

『蓮くん！他のお客さんの前でダメだよ。ここは蓮くんの大事な場所でしょう？』

そう言われると口をつぐむしかなくて、とりあえず目の前の女を睨みつける。