両面宿儺と女子高生の日常！8【呪術廻戦】

1年2年合同任務！　8 ページ11

『宿儺ー、悠仁の指って宿儺が私から目を逸らすためにやったって言ってなかったっけー？』

平坦な調子で尋ねる声。無理をしているのが丸わかり。



『…宿儺ー？』

「うるさい、聞こえている。



…そうだな」

『そっかー』


足音が聞こえたので教科書をしまった。



「どこ行くの？」

襖が開いて釘崎とすれ違う。


『トイレ！』

目を合わせずに隣をすり抜けたAに少し違和感を抱いてしばらく見送った。



ゆるりと足を進める。窓の外を眺めながら。

まだ灯りの付いている部屋も多く、ガヤガヤと騒がしい。


ひとりになれる場所を探して外に出た。

9月の岩手県だが長袖でいれば寒くはない。

じゃりっ、と砂利を踏んで歩く足音が響く。


近くに川が流れているらしく音が聞こえる。

敷地を越えようと踏み出した瞬間声がかかる。


「どこ行くの？」



女の子の声、どこから…。



後ろを振り返るとここに来た時に見た女の子がまりを持ってこちらを見上げていた。

しゃがんで目線を合わせる。


『ちょっとお散歩に行くだけだよ』

「だめ！」

『えぇ…』

困ったように眉をハの字にしたA。


「ね、私と遊んで？」



…ま、しょうがないか。



お姉さんぶって付き合ってみるA。

ボールを投げるだけの遊び。


『お名前なんていうの？』

「さち」

『さちちゃん？可愛いね！私はAっていうんだ〜。

さちちゃんお昼もここにいたよね。お父さんお母さんはどうしてるの？』

夜9時に外にいる子どもは少し不思議だ。



「この旅館で働いてるの。お客さんが寝るまでは寝れないから遊んでなさいって」

『へぇ、大変だね。私もう寝た方がいい？』

「うん。そうして？」

『わかった。じゃあ、もうお部屋戻ろうかなぁ。さちちゃんは？』

まりを持ってAを見上げるさち。


「ん、帰る」

『そう。じゃあ一緒に中行こうか』


さちに合わせてゆっくり歩く。玄関に入った後、スタッフオンリーの扉を開いていなくなった。

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