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電話の向こうで、赤井秀一は言葉を紡ぐ。
「《…立場を同じくして、君のことは信頼してるんだ。俺はもう表立って組織に対立することは出来ないからな……あの子のことは頼んだよ》」
「………………あの子って?」
「《シアさ…それと、彼のことは今でも悪かったと思ってる》」
その言葉に、今度こそ俺はスマホを叩きつける程の怒りに襲われた。
真っ白になっていた頭に思考が戻り、勢いをつけて回り始める。
【彼】とはスコッチの事だ。
何をどう思って、赤井は俺に【悪かった】と言うのだ。
悪かったと思うくらいなら……お前なら……FBIなら……。
あいつの命を救うことくらい……出来たはずだろ。
シアのことを頼む、の意味は分からなかった。
それでも、俺がシアと再開したことを知った上での発言だろう。
FBIにどうこう言われる筋合いはないし、シアに対して何か特別な思い入れがあるわけじゃない。
赤井とシアの関係も……知らない。
くそ。
何が言いたいんだ。
「《ふ、降谷さん……どうしますか、追いますか?》」
そんな俺を現実に戻したのは、部下の声だった。
赤井はスマホを返してまた去ったのだろう。
「我々の正体を知られた以上、これ以上の深追いは危険……撤収してください」
電話を切るとマカデミー賞の工藤優作のインタビューを前に頭を抱える沖矢昴に向き直る。
とぼけたように笑顔を浮かべて、「勘違いでした、帰ります」とだけ言って背を向けた。
俺の推理は確かに正しかったはずだ。
俺は諦めないぞ、赤井秀一。
今は無理だとしても、いずれ全てを暴いてみせる。
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cherry*(プロフ) - Lalaさん» コメントありがとうございます🥲そう言っていただけて本当に嬉しいです❤️🔥亀更新ですが是非最後までお楽しみください、!! (5月30日 17時) (レス) id: 04cb4253df (このIDを非表示/違反報告)
Lala(プロフ) - 最高です!こんなに最高なストーリーは初めてです!大変でしょうが更新を待ってます。かなり楽しみです🥰 (5月30日 12時) (レス) @page38 id: a10f094dfd (このIDを非表示/違反報告)
cherry*(プロフ) - ナミさん» わーー!こちらにも!!ありがとうございます🥲すごく嬉しい🥲 (2023年4月9日 19時) (レス) id: 04cb4253df (このIDを非表示/違反報告)
ナミ(プロフ) - コメント失礼します。一気読みしてしまいました!作品の題名がすごくいいですね!!応援しています(^^)これからも頑張ってください!!! (2023年4月9日 13時) (レス) id: cbde72f558 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:cherry* | 作成日時:2023年2月4日 17時