goodnight【降谷零】 (ページ21)

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もちろん間違いメールとかかもしれない。
それでも、SOSの可能性だけは捨てきれなかった。

どちらにせよ、このメールからは状況を読むことは出来ない。

『……』

「子猫ちゃん、困り事かしら」

画面を見て以来黙り込んだ私を、ベルモットはからかうように覗き込んだ。

その面白いおもちゃを見つけた時のような声色に少しイラッとしながら、私は目の前の彼女に目線を合わせる。

天使のような美しい容姿の彼女も同じように私だけを見ていた。

『別に。私、もう行くわ』

「急ぎの用かしら？」

『だったら悪い？』

トンっと音を立てて投げ込まれた何かを私はキャッチする。
フルフェイスの……ヘルメット。

途端、彼女は跨ったままの愛用ハーレーのエンジンをふかす。
ブォンとかっこいいバイクの音が、人のいない駐車場に響く。

「後ろ、空いてるわよ」

『……ﾁｯ、こういう時だけ』

あー悔しい。

毛嫌いしているやつに助け舟を借りるなんて。

私が自力で駆けつけるより絶対ハーレーの方が早い。
私が車もバイクも運転しない事を知ってるからこそ彼女は自分を頼れと申し出てるのだ。

「飛ばすから掴まってなさい。……場所は？」

『中央ビル………………悪いわね、ベル』

「あら、お利口で可愛いじゃない。ずっとそうしてれば？」

『お断りよ』

素直に後ろに跨り、彼女の細いウエストに手を回す。

甘すぎない香水の香りがふわっと香った。

……まぁ、嫌いじゃない香りだ。

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