お疲れ様 ページ45
ななもり「それより、今日は疲れただろうからゆっくり休んだ方がいいよ」
怪我をしてる私の手に視線を向けながら、彼は誤魔化すようにそう言った。
ちょっと気になるけど、これは聞かない方が良さそうだな。
咄嗟にそう判断し、私は「うん」と首を縦に振った。
ななもり「じゃあ、俺は仕事に行ってくるね」
『あ、行ってらっしゃい!』
玄関の扉を開けて出発しようとするなーくんに、私は急いで見送りの挨拶をした。
左右に軽く手を振っていると、彼は”あ、うん”と照れながら家を出た。
何だろう。タメ口で話そうのくだりから様子が変な気がする。
不思議に思いながら、私は自分の部屋に向かった。
階段を上り切って部屋に入ろうとドアノブに手を掛けたとき、ガチャッと隣の扉が開いた。
反射的に音がした方に顔を向けると、莉犬さんとさとみさんが出てきた。
タイミングよく出くわすことが出来たから、私は二人にお礼を伝えることにした。
『今日はありがとうございました、莉犬さん!』
莉犬「桜子ちゃん!……その顔は上手くいったみたいだね」
『はい。関係を再築するために、今度はお友達から始めることになりました』
私の言葉を聞いた瞬間、お二人は驚いたように目を見開いた。
そして彼らは目を見合わせ、しばらく沈黙してからクスッと笑った。
な、何で笑われたんだろう。私変なこと言ったかな……?
莉犬「桜子ちゃんのことだからいい方向に運ぶとは思ってたけど、まさかここまでとは」
さとみ「ホント、いつも予想外のことしてくるよな」
彼らの話を聞く限り、悪いことではなさそうだ。これは、褒めてくれてるのかな?
どんな反応をしていいか分からず黙っていると、莉犬さんがポンッと私の肩を叩いた。
そして、優しい笑みを浮かべながら「お疲れ様」と労ってくれた。
莉犬「さっきは急に胸倉掴んじゃってごめんね?痛くなかった?」
『あ、はい!特に痛みとかは感じなかったです』
さとみ「ちょっと待て莉犬、お前こいつの胸倉掴んだの?」
莉犬「俺だったやりたくなかったけど作戦上、仕方なくね。もちろん手加減はしたよ」
謎に禍々しいオーラを放っているさとみさんから一歩遠退きながら、莉犬さんはそう答えた。
ん?何か空気変わった?明らかに変化したものに違和感を覚えながら、私は二人を見つめた。
すると、何故かさとみさんは数秒間私を見つめてきた。
突如向けられた視線に、私に心臓はドクンッと跳ねた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 83人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
るー - あの、非常に言いづらいのですが、VOISINGのSの後ろのIが抜けてます… (3月29日 10時) (
レス) @page50 id: 1ea139476f (このIDを非表示/違反報告)
清水まりあ(苺きゅん。) - 内田さんちょっと好感度上がったww ちょっとすきになりました！(笑) (3月17日 22時) (レス) @page38 id: 63408e6da3 (このIDを非表示/違反報告)
さまー(プロフ) - 前半がいつもより主人公の気持ちが深く書かれててよかった！なんか…よかった！ (3月11日 15時) (レス) @page32 id: ad3984bf8f (このIDを非表示/違反報告)
雨萩さくり(プロフ) - 清水まりあ(苺きゅん。)さん» そうなんですか!?ありがとうございます!! (3月3日 22時) (レス) id: c9a476ef2d (このIDを非表示/違反報告)
雨萩さくり(プロフ) - さまーさん» 返信が遅れてごめんね!いつも褒めてくれてありがとう! (3月3日 22時) (レス) id: c9a476ef2d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雨萩さくり | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/n15a76543b1
作成日時：2024年2月9日 7時
