痛み ページ39
嫌なことをされ続ければ、人に費やそうという気持ちもなくなる。
自分の命を懸けてまで誰かを救おうなんてことは思わなくなる。
そう考えた彼女は、自分が悪役になってまで私を助けようとしてくれたらしい。
「あんたみたいな奴って、
ストレートに”自分のことも大切にしなよ”って言っても聞かないタイプでしょ」
そう言って、彼女は”兄貴がそういう奴だったから分かる”と付け足した。
疎かにしていたつもりはないけど、自分への関心は人並み以下だったって自覚はある。
だから、正直内田さんの言葉はかなり私の心にキていた。
莉犬「＿＿＿彼女を苦しめることで、自ら命を絶つって選択肢を取るかもとは考えなかったの?」
「考えなかったわけじゃなかったけど……この方法以外どうすればいいのか分からなくて」
苦しそうに吐露する内田さん。
その表情を見て、彼女なりに私を大事に思ってくれていたんだなと感じた。
大事にする方法がだいぶ特殊ではあったけど、内田さんの中にあるのは悪意だけではなかった。
”もう大丈夫だよ”と伝えようとした瞬間、”パンッ!!”と乾いた音が辺りに響いた。
『えっ……!?』
一瞬、起きている状況が理解出来なかった。今、莉犬さんが内田さんの頬を叩いた……!?
私の隣にいたちぐさくんも目を見開き、叩かれた当の本人も動揺を隠せない様子だった。
口を開きにくい状況に息を呑んでいると、「ホントは」と莉犬さんが言葉を紡いだ。
莉犬「女の子に手は上げたくなかったけど、今はそんなこと気にしてられない。
ー−−いい?理由はどうであれ、君のやってることは犯罪だ」
『ちょ、莉犬さん!!』
莉犬「桜子ちゃんは黙ってて。……君には君なりの思いと理由があったのは分かった。
だけど、君がやってきたことは許されがたい行為なんだ」
淡々と話しているはずなのに、どこか圧を感じてしまう莉犬さんの語り口調。
そんな莉犬さんの言葉に、内田さんの瞳が大きく揺らいだ。
「これは、桜子ちゃんが受けてきた苦しみのほんの一部だよ」と言って、
莉犬さんは真っ直ぐ彼女を見つめた。
莉犬「人の心は見えないから相手がどれだけ傷ついてるか何て分からない。
だからこそ人は自分の間違いに気付かず過ちを犯してしまう」
「…………」
莉犬「不思議なもので、痛みが物理的に感じられた途端、人は相手の痛みに気付く。
逆を言えば、目に見えないと気付かないんだ」
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るー - あの、非常に言いづらいのですが、VOISINGのSの後ろのIが抜けてます… (3月29日 10時) (
レス) @page50 id: 1ea139476f (このIDを非表示/違反報告)
清水まりあ(苺きゅん。) - 内田さんちょっと好感度上がったww ちょっとすきになりました！(笑) (3月17日 22時) (レス) @page38 id: 63408e6da3 (このIDを非表示/違反報告)
さまー(プロフ) - 前半がいつもより主人公の気持ちが深く書かれててよかった！なんか…よかった！ (3月11日 15時) (レス) @page32 id: ad3984bf8f (このIDを非表示/違反報告)
雨萩さくり(プロフ) - 清水まりあ(苺きゅん。)さん» そうなんですか!?ありがとうございます!! (3月3日 22時) (レス) id: c9a476ef2d (このIDを非表示/違反報告)
雨萩さくり(プロフ) - さまーさん» 返信が遅れてごめんね!いつも褒めてくれてありがとう! (3月3日 22時) (レス) id: c9a476ef2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨萩さくり | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/n15a76543b1
作成日時：2024年2月9日 7時
