過去 ページ38
”どんな関係”って尋ねられても、すぐに答えることは出来ないだろう。
加害者と被害者なんて言ったら、今止めに入った意味がなくなってしまう。
どうするんだろうと思いながら彼女に視線を向けると、ちぐさくんが「あっ」と声を洩らした。
ちぐさ「俺、その子知ってるわ」
「え?」
ちぐさ「君、”女王様気取りで柚木桜子に嫌がらせをしてる二重人格女子”でしょ?」
初めて聞くその異名に私は目を見開いた。内田さん、そんな風に呼称されてたの……?
彼女も知らなかったようで、ちぐさくんの言葉に混乱していた。
最近は割と黒い部分を露出してたけど、
元々表裏はしっかり分ける人だったから周りに自分の裏がバレてるなんて思っていなかったみたい。
知らない人に自分の情報が知られてるって相当有名ってことだからね。
そりゃあ、ビックリするのも無理ないわ。
内田さんは青ざめながら俯き、自分の手を握り締めて拳を作った。
莉犬「今まで散々酷いことしたのに今度は偽善者になって助けるってこと?都合良すぎでしょ」
「そんなつもりじゃ……!!」
莉犬「じゃあ、どういうつもりだったわけ?」
答えにくい冷酷な疑問に、内田さんは泣きそうな表情を浮かべていた。
彼女は「私は」と口を開き、しばらくの間沈黙を貫いた。
数秒程度間を置いてから内田さんは再び「確かに」と言葉を紡いだ。
「＿＿＿私は柚木さんのことが気に入らなかった。
人のことには首を突っ込む癖に自分のことには無関心で、本当にイライラした。
まるで、アイツみたいで凄く嫌だった」
『”アイツ”……?』
「ー−−あんた、私の嫌いな兄に似てんのよ。今はもう絶対に会えない、お節介なクソ兄貴に」
言葉は厳しかったけど、内田さんがそのお兄さんのことを大好きだったことが伝わった。
”今はもう絶対に会えない”ってことは、既にこの世にはいないということだろう。
初めて聞く彼女の過去に私は息を呑んだ。
「他人のことばっかり優先してるから、自分が一番嫌な目に遭う。……命を落とすことになる。
クソ兄貴は、そのことに気付く前に逝っちゃった。
あんたはアイツと性格が似てるから、いずれあんたも同じ目に遭うと思った」
『内田さん……』
「だから分からせてやろうと思ったのよ。他人に費やしてばかりいるとどうなるかをね」
そう言って、彼女は綺麗な目を薄っすらと濡らしながら私を見つめた。
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るー - あの、非常に言いづらいのですが、VOISINGのSの後ろのIが抜けてます… (3月29日 10時) (
レス) @page50 id: 1ea139476f (このIDを非表示/違反報告)
清水まりあ(苺きゅん。) - 内田さんちょっと好感度上がったww ちょっとすきになりました！(笑) (3月17日 22時) (レス) @page38 id: 63408e6da3 (このIDを非表示/違反報告)
さまー(プロフ) - 前半がいつもより主人公の気持ちが深く書かれててよかった！なんか…よかった！ (3月11日 15時) (レス) @page32 id: ad3984bf8f (このIDを非表示/違反報告)
雨萩さくり(プロフ) - 清水まりあ(苺きゅん。)さん» そうなんですか!?ありがとうございます!! (3月3日 22時) (レス) id: c9a476ef2d (このIDを非表示/違反報告)
雨萩さくり(プロフ) - さまーさん» 返信が遅れてごめんね!いつも褒めてくれてありがとう! (3月3日 22時) (レス) id: c9a476ef2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨萩さくり | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/n15a76543b1
作成日時：2024年2月9日 7時
