心 ページ9
別に謝罪が欲しかったわけではない。
自分から首を突っ込んだことだし、こうなったのも自業自得だと思うから。
だけど、ななもりさんが私の心に寄り添うに声を掛けてくれたことが嬉しかった。
本当は怖かったけど強がってしまった手前、本心を言っていいのか分からなくて。
必死に見ないフリをしていたのも全部分かっていたかのように、
優しく包み込んでくれるななもりさんの体が温かくて。
私は上手く感情をコントロールすることが出来ず、思わず泣いてしまった。
しばらく彼の胸で涙を流した後、私は顔を拭いて”ありがとうございます”とお礼を言った。
服もかなり濡れちゃったし私を慰めなきゃいけないしで絶対大変だったはずなのに、
ななもりさんは笑顔で「大丈夫だよ」と言ってくれた。
沢山泣いたせいか頭がガンガンしているのを感じながら、私は彼の目を見た。
何故か複雑そうな顔をしているななもりさんに疑問を感じた私は質問をぶつけようとしたけど、
その前に真剣なトーンで「あのさ」と言われ、私は口が開けなくなってしまった。
何を言われるんだろう。……というか、気のせいかもしれないけど、何か体怠いな。
泣きすぎて体力使い過ぎたのかなと考えていると、ななもりさんがゆっくりと言葉を紡いだ。
ななもり「……やっぱり、オーナーの件はなかったことにしよう」
『え？』
ななもり「今回は、さとみくんが駆けつけてくれたからまだ助かったけど。
次も同じように桜子ちゃんが助かるとは限らない。
もしかしたら、命に関わるような酷い怪我をさせられるかもしれない。
＿＿＿まだ先が長い桜子ちゃんに、そんなことをされるわけにはいかないからね」
そう言って、彼は”我儘でごめん”と謝りながら立ち上がった。
状況が理解出来ず困惑していると、
「今日は体も精神も疲れただろうし、もう休んだ方がいいよ」と言ってドアノブに手を掛け、
ななもりさんは部屋から出ようとしていた。
”待って……！”と止めるために私も立ち上がろうとしたけど、
足が思うように動かなくてその場に倒れ込んでしまった。
「ー−−ちゃん！！」
誰かが叫んでいる声が聞こえたけど、体の重さが最高限度に達してしまった私は、
何て言ったかとか誰が言ったとか確かめる余裕がなかった。
全身が熱いのに寒気がする。それに異常なくらい体が動かない。
久々の感覚に懐かしさを感じながら、私はそっと意識を手放した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 78人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さまー(プロフ) - 雨萩さくりさん» 楽しみだぜ！ (2月9日 7時) (
レス) id: ad3984bf8f (このIDを非表示/違反報告)
雨萩さくり(プロフ) - さまーさん» ありがとー！！進化系人類のさくりさんだからこれからも面白いと思う作品を沢山届けていくぜ！ (2月8日 19時) (レス) id: c9a476ef2d (このIDを非表示/違反報告)
さまー(プロフ) - 愛されるべきおバカと自称している進化系人類ってwどんな肩書き！？面白すぎるよさくりー！ (2月8日 16時) (レス) id: ad3984bf8f (このIDを非表示/違反報告)
雨萩さくり(プロフ) - みやび。さん» コメントありがとうございます！小説の書き方が好きだと言ってもらえて嬉しいです！STPRはもちろん、VOISNGメンバーもこれからどんどん出していくのでお楽しみに！！ (2月6日 16時) (レス) @page48 id: c9a476ef2d (このIDを非表示/違反報告)
みやび。 - えぇぇぇ！？元々この小説の書き方が好きで読んでたんですけどそこに推しが登場するかもしれないとかもう命日です、ありがとうございます…泣 (2月6日 9時) (レス) id: fee9ea9627 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雨萩さくり | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/n15a76543b1
作成日時：2023年12月21日 8時
