友達 ページ30
穏やかな優しい表情を浮かべながら、真剣な様子で伝えてくれるちぐさくん。
泣きそうなことを悟られないように顔を下に向けて”はい”と返事をすると、
思ったよりも声が震えてしまって涙を流したことがバレてしまった。
お二人は「大丈夫？」と心配してくれながら立ち上がり、私の両隣に座った。
莉犬「桜子ちゃんは意外と泣き虫なんだねぇ」
『いつもは、こんなに泣かないんですけど。何故か最近は、我慢が出来なくて……』
自分の胸に引き寄せながら慰めるようにそう言った莉犬さんに、私は感情を吐露した。
「そっかそっか」と私の頭を撫でてくれる感覚が、私のお母さんとそっくりだった。
二重の意味で涙が溢れそうになっていると、
ちぐさくんが「いっぱい泣いてスッキリしちゃえ〜」と言って私の頬を突いてきた。
ちぐさ「あ、細いのに案外モチモチしてる」
莉犬「ちぐちゃん、それセクハラだよ」
ちぐさ「え、さくちゃんを抱きしめてる莉犬くんが言います……？」
そんなお二人のやり取りに、私は思わず笑みを零した。
すると、ちぐさくんが「あ、笑ってくれて良かった」と呟いた。
”辛いときは泣いた方が楽だと思うけど、やっぱり友達には笑顔でいてほしいからさ”
キラキラした笑顔で、そう口にしたちぐさくん。
『友達……？』
ちぐさ「うん。桜子ちゃんはオーナー候補ではあるけど、
だから友達かなぁって思ったんだけど、もしかして嫌だった？」
『ううん！ー−−初めて、異性の友達が出来て嬉しい』
ちぐさ「え、男の子の友達いないの？
コミュニケーション能力が高いから、てっきり性別問わず友達が沢山いるのかと思ってた」
『いや、実際は全然いないよ』
”何なら、同性の友達もいるか分からないし”
そう付け足そうと思ったけど、変な心配を掛けたくなくて口を閉じてしまった。
ちゃんとした友達なんて小学校以来かもと思っていると、
莉犬さんが「あっ」と何かを思い出したように声を漏らした。
莉犬「桜子ちゃん、悪いんだけど今すぐ着替えてSTPRに行く準備をしてほしい」
『分かりました』
ちぐさ「あれ、今日莉犬くんシフト入ってましたっけ？」
莉犬「いや、なーくんにSTPRまで桜子ちゃんを送るように頼まれてたんだよね」
そんな会話を聞きながら、私は自分の部屋に戻って私服に着替え、
荷物を持って再び彼らの前に現れた＿＿＿。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 78人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さまー(プロフ) - 雨萩さくりさん» 楽しみだぜ！ (2月9日 7時) (
レス) id: ad3984bf8f (このIDを非表示/違反報告)
雨萩さくり(プロフ) - さまーさん» ありがとー！！進化系人類のさくりさんだからこれからも面白いと思う作品を沢山届けていくぜ！ (2月8日 19時) (レス) id: c9a476ef2d (このIDを非表示/違反報告)
さまー(プロフ) - 愛されるべきおバカと自称している進化系人類ってwどんな肩書き！？面白すぎるよさくりー！ (2月8日 16時) (レス) id: ad3984bf8f (このIDを非表示/違反報告)
雨萩さくり(プロフ) - みやび。さん» コメントありがとうございます！小説の書き方が好きだと言ってもらえて嬉しいです！STPRはもちろん、VOISNGメンバーもこれからどんどん出していくのでお楽しみに！！ (2月6日 16時) (レス) @page48 id: c9a476ef2d (このIDを非表示/違反報告)
みやび。 - えぇぇぇ！？元々この小説の書き方が好きで読んでたんですけどそこに推しが登場するかもしれないとかもう命日です、ありがとうございます…泣 (2月6日 9時) (レス) id: fee9ea9627 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雨萩さくり | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/n15a76543b1
作成日時：2023年12月21日 8時
