JK,ホストクラブのオーナーになりました。 【歌い手】

弁解 ページ44

あっとさんにいじられたちぐさくんは「違いますからね！？」と必死に弁明をしていた。
純粋な可愛い感じでいてほしいって気持ちもあるけど、ホストのお仕事もしてるしそれは難しいかな。
そんなことを考えながら微妙な間を置いて”はい”と返事をすると、
ちぐさくんが「柚木さんに変な誤解されたぁ〜」と泣きそうな声で言った。
少し可哀そうだなと思ったけど、う〜と唸る姿が微笑ましくてクスッと笑ってしまった。









ちぐさ「ねぇー！！あっとくんのせいで柚木さんの俺に対するイメージが絶対下がったよ……」

あっと「いやいや、俺は莉犬くんの理論を別の言葉で言語化しただけだよ？」








何もしてないと言い張るあっとさんに対し、ちぐさくんは”風評被害だ”と訴えた。
その様子を見ていたななもりさんたちは、「今日も平和だねぇ」と呟きながら和んでいた。
何か、子供の喧嘩を見守る親みたいだな……。
年が離れてるからかなと予想していると、腕時計を見たさとみさんが”あ”と声を漏らした。









さとみ「なーくん、俺らそろそろ出ないとヤバいかも」








その発言に、ななもりさんはコクリと頷きながら「そうだね」と返した。
”どこかに出かけるんですか？”と尋ねると、
「今日は他のホストクラブとの定例会議があるんだ」と教えてくれた。
なるほど、ライバル関係でもこういう話し合いはするのか。
学生が分かりやすい言葉に言い換えると、先生が出張に行くみたいな感じ。







ほーんと心の中で相づちを打っていると、準備を終えた二人が”行ってきます”と手を振っていた。
「行ってらっしゃい！」と声を掛けると、さとみさんはガン無視だったけどななもりさんは微笑んでくれた。
性格の差というか私に対してどう思ってるかが凄い出てるなぁと痛感していると、
ソファーでくつろいでいた莉犬さんがムクッと起き上がった。









莉犬「ちょっと早いけど、俺らも営業準備しちゃおっか。新しいお酒の入荷もあるしね」

ちぐさ「分かりました！」

あっと「了解で〜す」









私の場合、この準備は参加した方がいいのかな。
一応仮オーナー兼新人ホストｔｔ役割はあるけど、私の立ち位置って微妙なんだよなぁ。
そんなことを考えながら頭を抱えていると、
キラキラスマイルを浮かべた莉犬さんから「今日もお手伝いよろしくね、新人さん」と言われた。
やっぱりか……と苦笑いしながら、私は彼の目を見て”はい”と返事をした。

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