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「健一さん健一さん」
「な”に”」
「やっぱり辞表書こっか」
「え？」
「おとぉさーん！紙持ってきてー！」
「どうした！」
「辞表書かせるー！」
「待っとけー！」
「え！？ え！？ ちょ、おやっさん！」
えぇい止めちゃダメだよー
確かに前回諦めるなって言ったの私だけどー
常連さんを困らせてるヤツらを放っておけるほど
私も心無いやつじゃないのー
ま、全部知りたいだけだけど
辞表を出された会社が許すのか
ここから健一さんがどうなるのか
知りたいだけ
だから教えてね？
常識は通用しない
させない
あんな心を殺すものいらない
まぁ、制御は必要だけど
あんまり厳しすぎると
いろんな人が普通になっちゃう
そんなのダメだよ
楽しくない、面白くない
知る価値がない
「ほれ、これだろ」
「うわ、これお父さんが会社辞める時に買ったやつでしょ」
「大人の事情ってやつだ、言うな」
「はーい、じゃあ健一さん書こっか」
手を離して下りる
健一さんは迷ってる
まぁ、私のせいかもだけど……
「健一さん」
「なに？」
「そんなになりたくないのー？」
「なにに？」
「目標のプログラマー」
「実は気づいてるでしょ？その会社が自分の足を引っ張ってることぐらいー」
……健一さんのもく目標を追い求めるあの姿は好き
他の人と違うから
けど私は嫌いだよそんな君をしばりつける会社なんて
「諦めなくていいんだよ、だからそんなとこ抜け出したら？」
「……解釈違いだったか」
「みたいだねー！じゃあほらほら手を進めた！」
「はいはい」
健一さんは迷いなくかけてた！
会社はどんな反応するかなー？
いひひー！ざまぁみろー！
「会社を辞めて次のを見つけるその間健一をどうする気だ？」
「あっ、お父さん……ここで働かせようかなーって」
「……ったく、まぁいい人手足りてなかったしな！」
「いぇーい！歓迎会だー！」
健一さん料理出来るかなー？
「よし書けた！」
「よーい！会社に殴り込みだー！」
「あぁ！未来ちゃんどこ行くの！？」
「社長室！」
「行けません！捕まります！」
「ちぇーっ」
ホント常識きらーい
なんだよー何も出来ない能無しのくせにさー
まぁ、これは健一さんに任せますか
「ねえねえ、健一さん！」
「？ なに？」
「明日、頑張ってね」
「……任せてよ、君が背中を押してくれたんだから」
「んふふー、明日楽しみにしてるねー」
そう言って健一さんはお店を出た
あ、ちゃんと鯖の煮付け食べたよ！
新しい“こたえ”が見れて私は満足です！
続く
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作者名：桜坂 | 作成日時：2018年11月4日 3時
