【 1人作戦 】 ページ10
時は経ち、短針が12をまわる頃。
企む影がひとつ。
それは美しくも醜い、ここの審神者の初期刀だった。
「 もうすぐ...もうすぐだよ。主 」
いっこうに下がる気配のない口角と、染み付いた血の匂い。
本丸に近づくは闇の刃。時間遡行軍。
思い通りになったことへの喜びは止まることを知らず、俺は走って主の元へと向かった。
「 主起きて！ 」
身体を揺する。
すぐに目を覚ました審神者は、どうしたのかと目をこする。
『 なに...加州.... 』
「
これ以上ないくらいの笑みに不信感を抱いた審神者が外へ出ると、そこには血に溢れた戦場が広がっていた。
先程まで笑っていた影がひとつ、またひとつと消えていく。
あぁ、これは彼の仕業か。と冷静に考えたが信じたくもなく、ただひたすらにその光景を見つめた。
『 ねぇ...加州 』
震える声でそっと聞く。
なに、そう答えた加州は、もう加州ではなかった。
『 あなた、なの？ 』
「 そんなわけないだろ！何言ってるの！？ 」
肩を掴まれる。口調と表情があっていない。
なんでこんなにも必死なのに....笑っているの？
『 いやだ....なんで 』
主。そう呼ぶ声が本丸内で響き渡る。
みんなが、主、主と呼ぶ。
みんなが、みんなが...
『 加州清光、あなたは 』
「 主のこと、愛してるから 」
『 え....なに、して...ｯあ 』
覚えているのは、後頭部に広がる激しい痛みと、あの方の悲痛な叫び声。
私はここで、意識を失った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 19人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
櫻井しゅう(プロフ) - 遥希さん» ありがとうございます。人間味のある刀について、伝わっていたのなら幸いです。��ですね、了解致しました。 (2018年3月10日 13時) (
レス) id: cb7ab9daf1 (このIDを非表示/違反報告)
遥希(プロフ) - 完結おめでとうございます。加州さんが大切でないものを切り捨てたり、大切なものにはちょっと臆病になったりするところが、刀剣男士に適切な言葉であるかわかりませんがすごく人間的で読んでいて楽しかったです。��が気になります。 (2018年3月10日 8時) (レス) id: 52448a23b1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
