六話 ページ7
「審神者様！！大丈夫ですか？！」
「何だよ、これ････!!｣
「い、今すぐ部屋に行きましょう！動けそうですか？！」
頭を押さえながら、どうにか体を起こす。
けれど、立ち上がることは出来そうに無くて、僕は体を引きづりながら塀に近づこうとする。
こんのすけさんが僕の意図を読んだように、服の袖を咥えて移動を手伝ってくれようとするけれど、
「人の子よ。 何処に行く」
カチャリと後ろで音がなり、首に冷たい刃が向けられる。
俺の人生って、何でこんなにしんどいんだろ。
「何処って････そこの塀に凭れるだけですが」
「････病でも患っているのか」
「違います。 今まで飛んでた記憶が少し戻ってきただけです」
刀を向けられ、動く事すら許されなくなった僕は、地べたに寝転がり、仰向けになる。
やっぱり似てるな。
下から見る彼の顔が、幼い時に見ていた彼と重なる。
あの頃と同じ目線で見ると余計に似てる。
「忘れたままで良かったのにな。 宗近兄ちゃんの事なんて････」((ﾎﾞｿｯ
「なに？」
「いや、こっちの話です。 それで、僕を殺しますか？ 」
首に当てられた刀に触れ、彼に問いかける。
よく見ると、綺麗な着物が少し汚れている？
所々に傷もあるし、、、
この人も色々と大変だったのかもしれない。
分からないけど。
青色の空と三日月宗近と名乗る刀剣が僕の視界を埋める。
これで桜が舞ってたら、もっと綺麗だろうな。
そんなことを呑気に考えていると、
((ﾌﾞﾜｯ
強い風がおき、僕の手が光を宿す。
そして、触れていた刀の傷が消え、近くにあった木が満開の桜を咲かせた。
固まる僕と僕を見下ろしていた三日月宗近は、目を丸くしながら自身の体を見て、その後、顔を上げゆっくりと上げた。
桜の木を見上げる彼は、さっきまでまるで別人の様に穏やから表情をしてる。
「やっぱり思った通り、凄く綺麗だな････」
その景色を最後に、僕の意識はプツリと途切れた。
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