私はお前と海へ出る14(空島編前編) (ページ9)

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『…！』

あの『夜』になった空の上に、空島があったかもしれない…そう思うと、体がワクワクで疼いた。

ル「そうか！！よし分かった！！その雲の上に行こう！！」

　ルフィはそう言うと、後ろで寝ているゾロを叩き起しに行った。

ウ「おいみんな！支度しろ！！雲舵いっぱいだ！！おっさん！教えてくれてありがとう！！」

ナ「行き方がわかんないって何度言わすの！！？」

ナミの怒鳴り声とともに、拳がとんだ。

(うわぁ……)

　大騒ぎしていた2人の顔がパンパンに腫れたところで、クリケットが口を開く。

ク「ここからが本題だ。言っておくが……」

　そう言ってクリケットは私たちに背を向けた。

ク「命を賭けろ」

　クリケットの言葉に小さく頷く。

『初めからその気だよ』

ク「そりゃあ頼もしいな」

　そう言ってクリケットはタバコの煙を吐いてこちらを向いた。

ク「『突き上げる海流(ノックアップストリーム)』……この海流にのれば空に行ける。理屈の問題だ、わかるか？」

ナ「…！」

　ナミの顔に僅かに恐れの混じった険しい表情が浮かんだ。

ナ「それって……船が吹き飛ばされちゃう海流なんでしょ？」

ル「そうか！吹き飛べばいいんだ、雲の上まで！」

ウ「海流で？」

『…』

　船が吹き飛ばされるほどの海流…それを使えば雲の上に飛ぶことは出来るだろう。

『…危険な賭けだね』

　私の言葉にクリケットはニヤリと笑った。

ク「その考えで間違いはねぇよ、小」

　ルフィ達はピンと来ないらしく首を傾げている。

ク「大事なのはタイミングだ。まず海流に突き上げられるって状況も、口で言やあ簡単だが、おめェらがイメージするほど爽やかな空の旅にはならねェ。」

　クリケットの顔に険しさが増した。その表情に誰かが生唾を飲み込んだ。

ク「『突き上げる海流(ノックアップストリーム)』は災害だ。本来は断固回避すべき対象なのさ」