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『……』
さっきまでの楽しい雰囲気が一転、張り詰めた空気に変わる。
ナ「…一体どういう原理で海流が上へ上がるの？私達、今までそんなの聞いた事も無かったし……」
ク「そのバケモノ海流の原理ってのも当然予測の域を越えない。そこに突っ込んでまで調べようってバカはいねェからな」
クリケットはそう前置いて話し始めた。
ク「定説はこうだ。海底のより深くに大空洞があり、そこに低温の海水が流れ込む。下からの地熱で生じた膨大な蒸気の圧力は、海底での爆発を引き起こす。それは海を吹き飛ばし、空への『海流』をも生み出すほどの『大爆発』だ」
『…具体的な規模は？』
私の問いにクリケットさんは僅かに険しい顔をした。
ク「1分だ」
『…？』
ク「1分、『海が空に上昇し続ける』」
『！』
ナミの顔がサッと青ざめた。
ナ「そんな……一体どんな規模の爆発なのよ！？」
あまりにも大きすぎる爆発力に想像が追いつかない。1分間海流になるほどの海水を打ち上げられる規模だなんて、控えめに考えても災害でしかない。
ク「爆発の場所は毎回違い、頻度は月に５回」
隣で聞いていたウソップは震える声で呟いた。
ウ「…木端微塵になれってのか……？」
岸にとめられたメリー号を見つめる。この小さな船が、そんなに大きな自然現象に挑めるのだろうか。
ク「だがまァ…雄大な自然現象を言葉や理屈で言い表すなど愚かなことだ」
ウ「…じゃ、じゃあつまり！！月に5回しか生まれねェその海流の上空に、うまく…『空島』がやってこなきゃ……」
ウソップの言葉を次ぐように私は口を開いた。
『飛び損だよ』
ウ「！」
『何にも引っかからなければ、海面に叩きつけられてみんなまとめて海の藻屑ってわけだ』
ク「…もっとも、『積帝雲』に上手く突っ込めたところで、そこに『空島』が存在しなきゃ結果は同じかもしれねェが」
クリケットと私の言葉に、ウソップの顔はどんどん青くなっていく。
『ま、命をかけた大一番ってわけだね、楽しみじゃないか』
私の言葉にクリケットがククッと喉を鳴らして笑う。
ク「随分肝っ玉の座った女だな、お前は」
『この海を渡るって決めた時から、夢のために命を捨てる覚悟はしてる』
私の言葉にクリケットは僅かに目を見開いた。なにか言おうとしたクリケットの言葉に被せるように、ウソップが声を上げた。
ウ「よ……よし！！『空島』を諦めよう！！」
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作者名：りと | 作成日時：2019年5月15日 11時
