617歩目 ページ5
ル「へー、おっさんも海賊なのか」
ルフィはあっけらかんとした様子でそう言った。
ク「別になりたかったわけじゃねェ。ノーランドの呪縛から逃げ出したかったんだ」
そう言って、クリケットは深いため息をついた。
ク「しかし、10年前……冒険の末、おれの船はなんとこの島に行き着いちまった。奇しくも、モンブラン家を…ノーランドを最も嫌い続けたこのおれだけが行き着いた」
運命、そんな言葉が頭をよぎる。クリケットに流れるほんの僅かなノーランドの血が、クリケットをこのジャヤに導いたのかもしれない。
ク「絵本の通り、黄金郷など欠片も見当たらねェこの島の岬に立つと、これも
クリケットはそこで腹を決めたらしい。
「
当然、この島に留まる理由はない船員達は反対した。そして、クリケットを置いて、ジャヤを去った。
ク「あるのならそれもよし…ねェのならそれもよし…。別に黄金見つけて奴の無実を証明したいわけじゃねェ」
タバコの煙をゆっくりとクリケットは吐いて、窓の外から見える凪いだ海を見つめる。
ク「おれの人生を狂わせた男との、これは決闘なのさ」
潮風の吹き込む窓に顔を向けたクリケットの表情はわからない。だが、この男がなぜ体に無茶を強いてまで海に潜り続けるのかは、わかった気がする。
ク「おれがくたばる前に…白黒はっきりさせてェんだ…！！！」
誰も何も言わない。ただ、私のそばでウソップがグスグスと鼻を啜りあげて泣いている。
ウ「………！！まさに男の…………！！」
感涙にむせび泣いているウソップを横目に、私は軽く首をかしげた。
『じゃあ……マシラとショウジョウ、あの二人はなんでここにいる？』
あの二人は恐らくモンブラン家の因縁には関係の無い人間だろう。
ウ「…そりゃまた海底にかける男達の拳で語る熱いドラマがあったんだろうなァ……」
鼻声でそういうウソップに、クリケットは特に表情は変えなかった。
ク「あいつらは絵本のファンだ」
ウ「ファンかよ！！」
ナ「随分簡単な繋がりね……」
もう少し何かあるかと思ったが、そんなことは無かった。小説の読みすぎかもしれないな、なんて呆れながら私は苦笑した。
ク「5、6年前になるか…」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 200人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：りと | 作成日時：2019年5月15日 11時
