私はお前と海へ出る14(空島編前編) (ページ30)

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「おい、お前らァ～～～～！！！大園長(おおボス)を怒らせんじゃねェぞォ！！」

　すっかり話を聞いていないルフィ達に向かって、ショウジョウの船のクルーが怒鳴り声をあげる。

シ「まーいーからいーから。ハラハラするぜ、あいつらのシカトっプリには…！！」

　焦るクルーの様子とは裏腹にショウジョウは特に気にする様子もなく、ひらひらと手を振っている。一瞬、「なんだどうした」と後ろで誰かが声をあげたが、すぐにまたサウスバードに興味が戻ったのか、はじけるような笑い声があがった。

ル「まー、そんなにあせってもしょうがねェからさ！楽に行こうぜ！！」

　ルフィが軽く片手をあげて、ショウジョウの船に向かってにかっと笑う。

『誰のせいで予定が遅れたと思ってるんだか…。』

　朝のヘラクレスの一件などすっかり忘れてしまっているのか、ルフィはあっけらかんとしている。その背中にため息をつきながら、私はサンジが淹れてくれた紅茶をすすった。

マ「─だが、そりゃそうだ。何時間も緊迫し続けたってしょうがねェ」

　マシラの言葉に「なるほどな」とショウジョウも頷く。

シ「よーし、野郎ども。気を抜きながら、全速前進～～。」

「「ウッキッキ～～～～～～～～」」

「「ウォ～～～…ホ～～～～～…」」

　間延びした号令が静かな朝の海に響く。

「「は～～…いい天気だ…」」

　後ろではルフィ達もだらりと甲板に座って空を見上げていた。

ゾ「大丈夫か、オイ…」

『両極端なんだから…』

『…！』

不意に空気が変わったのを感じて目が醒めた。と同時に、マシラの船が騒がしくなっていることに気が付いた。

「園長(ボス)！！！マズイッす！！！」

マ「どうしたァ！！！！」

　マストの上に登ったマシラとそのクルーが望遠鏡をのぞいている。

「南西より！！！『夜』が来てます！！！！」

『！』

「『積帝雲』です！！！」

　クルーの言葉に、私は慌ててマストの上に飛んだ。遠くに確かに巨大な雲の塊が見える。

(あれは…！！)

　雲の下は真っ暗、間違いなく『夜』がある。

マ「本当か！！？今何時だ！！？」

「10時です！！！予想よりもずっと早い！！！」

マ「マズイな……！！ショウジョウ行けるか！！？」

シ「ウータンダイバーズ！！！すぐ海に入れ！！！海流を探る！！！」

　一気に騒がしくなった甲板で、私はメインマストから遠くのそれを眺めた。

『あの場所に…「空島」が……！！』