私はお前と海へ出る14(空島編前編) (ページ29)

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ル｢ロマンか！！｣

　ルフィの言葉にそうだとクリケットは頷いた。

ク｢金を…ありがとうよ…！！おめェら、空から落ちてくんじゃねェぞ！！｣

　クリケットの言葉にルフィがしししと笑う。
　と同時に、メリー号の錨が上がった。ごう、と風が吹き、帆が風を受けて膨らむ。

ル｢じゃあな、おっさん！！｣

　ルフィが大きく手を振った。

ナ｢ありがと、クリケットさん！｣

ウ｢おやっさん、黄金郷はきっとあるぜ！！！｣

ル｢おっさん、無茶すんなァ！！！｣

ク｢余計なお世話だァ！！！｣

甲板で笑い声があがる。遠くなっていくクリケットさんも楽しそうに笑っていた。

(気持ちのいい男だった)

　私たちと道は違えど、夢を追う姿はやはり見ていて気持ちがいい。水平線に見えなくなった岬から、騒がしい甲板に視線を戻す。そこにいるみんなの姿も、また見ていて気持ちのいい、眩しい存在だった。

シ｢いいか、現在午前7時だ！！｣

　ショウジョウの声が静かな海に響く。

シ｢現場付近に到達するのが、恐らく午前11時頃。｣

　ショウジョウが海図を見つつ、軽く眉をひそめたのが見えた。

シ｢おやっさんが話したように『突き上げる海流(ノックアップストリーム)』の立ち上がる位置は毎回違うから、それ以前に到着して、その位置を正しく『探索(サーチ)』しておく必要がある。少し予定より遅れちまったから…｣

　説明を聞き流している私の横でルフィはサウスバードの顔を掴んでいる。

ル｢見てろ見てろ…！｣

　ルフィの声に振り返ると、サウスバードの顔を進路から外れた方向に向けている。それを不思議そうに見つめるウソップとチョッパーの横に私も立った。パッ、とルフィが手を離した瞬間、サウスバードが勢いよく進路の方に向く。

ル｢ほら！！正面向いた！！｣

シ｢おい、聞いてんのか？おれの説明を…！！｣

　ルフィ達はすっかりサウスバードに夢中らしい。

ウ｢いやー、変わった鳥もいるもんだな｣

ル｢ホントに南しか向かねェんだ、こいつ！！コンパスみてェだな、面白ェ～！！｣

　ゲラゲラと笑うルフィにサウスバードが怒ったような鳴き声を上げた。

(なるほど、南を指すことは間違いないわけね)

　なんとか捕まえた甲斐があったな、と思いながら、私は水平線に視線をやった。

あともう少しで空島へ行けるチャンスが来る、そう思うと胸が高鳴った。