【結ばれIF】空に赤い花/大学生 ページ31
※今回は未来の話じゃないです
──
そんな汚れた場所に彼女を連れていきたいわけがないから、こうして穴場スポットのカフェにいる。客足も少ない時間帯に食事を楽しみながら見る花火こそ風流に違いない。
「あ、大きいのが上がってますよ！」
空に昇る光の筋を追うその人差し指に、色とりどりの爆発が照り返した。指先のしなやかな形を眺めていると、そのうち浴衣の方にも目が向く。
上品な色の浴衣に、淡いブルーグレーの帯が可愛らしい。なにより、涼しげな目元にほんのり朱が昇るのとよく色が合う。
俺の視線を辿ったAさんは不思議そうに首を捻る。
「私のことはいつでも見られますよ？」
「無邪気に空見てるのが可愛くてさ。ずっと見てたい」
……赤い光が差し込んでもごまかせない赤面は初めて見た。いま彼女の耳を触ったらだいぶ熱いんだろうな。気まずい時みたいに唇を歪ませながらAさんは言う。
「あんまり言われると、心臓がもたないので……」
「えー？」
元々俺はストレートにものを言う方だ。以前は隠す必要があったからそうしていただけで。ちょっといたずら心が湧いて、目を細める。
「浴衣着て来てくれたところからグッときたし、後ろに立った時うなじずっと見てた。屋台の行列を見て『私達はカフェで良かったですねー』って舌出してたのも小悪魔っぽくて良かったし、さっき花火見てた時の」
「わー、わー！」
立ち上がったAさんが両手を振って止めてくる。全身から恥ずかしいって伝わってきて、やっと俺の溜飲も下がる。
「まだ全部言ってないんだけどな？」
「いいです！ 言わなくていい、です！」
椅子を元の位置に戻す時ですら顔を赤くした少女が、小さく呟く。
「本当に今日、楽しみにしてたんです。だから、その」
伏し目がちの吸い込まれそうな眼差しに頷く。俺もずっと今日を待ちわびてた。
「Aさんの方から『花火見たい』って言ってくれたのが1番嬉しかった」
俺が大学のことで忙しく見えるのか、そういうお願いを中々言ってくれない君だから。ほんのささやかなデートの誘いでさえ、宝物のように感じる。こんなに幸せなことは他にない。
……本人はわかってないようで、クエスチョンマークが頭の上に見えるきょとん顔だが。まあいいか。後でいくらでも伝える時間はあるのだから。
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ユメ(プロフ) - 我儘への対応誠にありがとうございます……成仏。親友ちゃんの他ヤンデレたちに対するスタンスとか、解釈一致……というのは作者様に対してどうなんだという気もしますが、非常によかったです。感謝しかありません、大好きです (5月4日 19時) (
レス) @page45 id: 8ed95612e3 (このIDを非表示/違反報告)
バニー芳一(プロフ) - ユメさん» 巡回怠っていて気がつくのが遅れました、大変申し訳ありません。コメントとリクエストありがとうございます！もう片方の内容も時期に上げますね。ご愛読ありがとうございます (4月25日 19時) (レス) id: e2dede88a8 (このIDを非表示/違反報告)
ユメ(プロフ) - 親友ちゃん的に大学生さんと約束くんは夢主の彼氏としてアリなのでしょうか。夢主さんが無防備に寝ているのを発見したヤンデレたちの反応は？質問に見せかけたリクエストみたいになってしまい申し訳ありません。つい気になってしまい…。対応難しければ無視してください (4月19日 21時) (レス) id: 8ed95612e3 (このIDを非表示/違反報告)
バニー芳一 - スカイブルさん» コメントありがとうございます！親友ちゃん可愛いですよね、書いてて楽しいです。大学生はいい人止まりじゃなくなることを祈ります、不憫じゃなくなるといいですね (2月8日 22時) (レス) @page33 id: be5118262c (このIDを非表示/違反報告)
スカイブル - 親友ちゃんかわいい、、、大学生くんいいひとだ、、 (2月8日 20時) (レス) @page39 id: 53d17ffccc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：バニー芳一 | 作成日時：2023年10月24日 19時
