FIRSTBLUE【青峰大輝】 (ページ5)

今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:1,576 hit

さーんページ5

屋上の一時封鎖

最初こそドアを蹴り破って寝てやろうかと思い不機嫌にはなったが、ひょんな事から昼寝場所も見つかり昼寝の“お供”も見つかった青峰

旧音楽室には緩やかな曲がピアノによって奏でられる

「くぁ～…ユウ」

弾いている本人に声をかけると

『はい、なんですか？』

弾く手は止めず返事が帰ってくる
でも青峰はその返事にムッとなり

「あ゛ーその堅苦し敬語やめろ」

と言った
青峰が呼ぶと優也は畏まったように返事をし正座する

仮にも同い年だ

『敬語を…やめる』

少し戸惑うような表情を見せる優也

「同い年だろうが。普通でいいぜ」

『は、…ぃじゃなくて…うん』

青峰は優也の声が嫌いではなかった
決して大きくもなく
何処ぞの先輩みたいなうるささもなく
はたまた何処ぞの悟り先輩のように濁ることも無い
(聞こえたでーと聞こえてきそうだ)

静かで透き通っていてするりと耳に入ってくる声は心地良さを孕んでいた

「同じクラスってんならなんでお前の事知らなかったんだろうな」

他人に興味がなくても青峰は何故今までこの男を知らなかったのだろうと不思議になった

『それは青峰君がサボってたから、かな』

僕もそんなに人と関わらなかったと優也は言った

確かに青峰はサボり魔で教室にはあまり行っていない

青峰は少し後悔した
教室にいたらもっと早く見つけれていたかもしれない、と

らしくない事を考えてはいるが、本当に優也と優也の奏でる曲は酷く心地よいのだ

(ねみぃ…)

誘われる眠気に抵抗せず
遠くの方で聞こえる緩やかな曲に身を任せ
青峰は眠りに落ちた

『おやすみ青峰君』

遠くの方で優也の声が綺麗に響いた