FIRSTBLUE【青峰大輝】 (ページ3)

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『だ、れ？』

弾き終わった音楽から意識を外した途端、人の気配にハッと目の前を見た

そしたら背の高い男の人が立っていた

「…あ、…」

何かに気を取られていたのか、自分の声に我に返った様な顔をする男の人

(…もしかして…)

『青峰…大輝くん？だよね』

「なんで名前…」

『同じクラスだし、それに』

既視感のあったその男の人は青峰大輝君だ
同じクラスでバスケ部のエースの、有名人
とても女性から人気がある人だから知っていたし何より

『声が…綺麗だった、から』

と。

そう言ったらポカンとしていた青峰君が急に「なんだそりゃ」と笑い始めた

「俺の声が綺麗とか初めて言われたんだけど、ウケるわマジ」

『そ、そうなんだ』

初対面に向かって声が綺麗っていうのはちょっと可笑しかったのかな
青峰君は以前笑っているし、けどやっぱり綺麗な声をしている

(雑音…じゃ、ないんだよなあ)

「おい」

『は、はい！』

「お前名前は？」

『え。あ…霞…優也と言います』

「優也ね。ちと長ぇな…ユウでいいか？」

『はい、ッいい、です』

名前を聞かれた
そして愛称で呼ばれるとは思っておらずその綺麗な声が自分の名前を呼んでいることに思わず赤面する

「お前おもしれぇわ。なあここで俺寝てぇんだけどよ」

『寝る？』

「昼寝だよ。んでその昼寝の時お前のそのピアノ？聞かせてくれよ」

『僕のピアノを…？邪魔じゃ、ない？』

昼寝をするなら静かに越したことはない筈なのに

「邪魔じゃねーし。邪魔だったら言う、だから弾け、いいな？」

少し横暴に聞こえるそれ
でも自分にとってそれは嬉しかった

『うん。分かりました…では青峰君がぐっすり寝られるように…頑張りますね』

「おー」

昼寝サボり魔の青年とピアノ青年という奇妙な関係
紡がれる物語は何を弾いていくやら