届かないキョリ (ページ38)

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「んん……」

玉森「気がついたか？」

「玉森くん…」

椿「Aちゃん！！！」

「椿…おばさん……」

椿「先生…呼んでくるわ！」

そういって病室からでる椿おばさん。

玉森「ごめんな…怖い思いさせて…」

「私こそ…迷惑かけてごめんなさい…」

玉森「手…痛むか？」

悲しい目をして手首を見る玉森くん

「これで、また勉強に支障出ちゃいました」

玉森「大丈夫だよ。俺が見てやるから…」

「ごめんなさい…」

玉森「お前が謝ることじゃない。坂田の件だが…」

「はい…」

玉森「警察に言って裁判沙汰にもできるが」

「それはやめてください」

玉森「でも…！」

「良いんです。家族と会えたんですか？」

玉森「今は家族と一緒にいるが…」

「だったら尚更、言わないでください…」

玉森「でも、お前の心の傷は…」

「それは気にしないでください…
怖かったけど…玉森くんの声聞いたら安心しました！」

玉森「守れなくてごめん…」

「もう謝んないで！！」

確かに、怖い思いをしたのに変わりはないけど…
でも、坂田さんにも色んな思いがあったし…

多分…玉森家にいるって言うことはこういうこともこれからあるかもしれないから…

玉森「いや…本当に怖い思いさせてごめんな…」

「あの…私玉森くんの声が好きです…」

玉森「え？」

「話してると落ち着くんです…」

玉森「うん…」

「だから、学校で話しちゃダメですか？」

玉森「俺と話したら、きっと酷い目にあうぞ。
この前みたいに…」

玉森くんはそんな事まで気にしてくれてたんだ…

「だから…学校で話すなって…」

ずっと突っかかってたこと…

玉森「当たり前だろ…だって俺のファンってキツイ奴らが多いからな」

「でもうちは玉森くんと話したい…」

玉森「分かった…」

「じゃあ決まり！」

嫌われたわけじゃなかったんだ…

うちを想っての事だったんだ…

やっぱり…うちは玉森くんが好きなんだな…