君に贈る杏の花。Ⅰ【五条悟】 (ページ4)

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…待ちに待った入学の日。
といっても入学式という式でもなく、教室で2時間ほど高専や任務についての説明があったあと、全学年での顔合わせをすべく、一年の3人はグランドに集められた。
程なくしてやってきた二年の2人に頭を下げると、自然と自己紹介が始まった。

「君たちが一年生？灰原雄って言います！好きに呼んでね！」

「七海です。」

対照的な2人の挨拶に一年も挨拶をすると、硝子の言う通り「二年生はいい奴ら」であることにAはほっと胸を撫で下ろす。
それと共にド屑2人がどんなものなのか怖くもあったが、いつの間にか灰原に乗せられて喋っており、そんなこともとうに忘れ去っていた。

「へえ！Aちゃんも日葵ちゃんも昨日会ったばっかりなんだ！それなのに仲がいいんだね。」

「昨日は一緒にご飯も食べましたし、これからがめっちゃ楽しみです。」

「一年生みんないい子そうだなあ！ねえ七海！」

「……。」

見るからに静かなのが好きそうな七海は灰原をスルーしており、Aが助け舟を出そうか考えたが、いつもこれなようで灰原は特に気にしている様子もなかった為口は挟まなかった。

「ちょ、みてA！三年生じゃない？」

「え、まじ！」

日葵の見る方向に見えた3人の生徒。うち一人は硝子だとすぐわかったが、他2人のオーラにAは硝子の名を呼ぶのをやめた。
一人は髪を結いあげ、大きな穴の開いたピアスをし、ズボンは足首に向かって膨らみを持つヤンキーそうな作りをしている。
もう一人は白髪にサングラス。背と比例して大きな態度をしており、紙パックのジュースを飲んでいる。

「わー！夏油先輩！」

灰原が横で手を振っているが、Aらは少し怖くなってじっと見つめる。

「遅くなってすまないね。悟が飲み物を買うってうるさくってね。私は夏油傑。よろしく頼むよ。」

傑はそう言ってにこやかにAらに手を差し出す。
Aと日葵は急いで手をだすと順に握手をし、見た目のわりに優しいその声色と顔に安堵する。だがしかし。

「私は自己紹介いらないよね。五条の番だよ。」

「あ？」

態度が身長よりもデカい白髪の悟と呼ばれている男は、ぽけっとに手を突っ込んだまま不機嫌そうにA達を見下ろした。

「八九寺？お前。」

「え、あ、え、はい。」

サングラスをおろしてのぞき込むその美しい瞳に、サトルと呼ばれたその人が誰なのか瞬時に思いつく。