君に贈る杏の花。Ⅰ【五条悟】 (ページ16)

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「あーもうちょい上だわ下手くそかよ、」

「やってもらっときながら文句多いですよ先輩。」

「ありがとうございます悟先輩だろうが。」

…あれから即座に1級の呪霊を祓った悟。
しかしすっかり眠ってしまったAを負ぶると、帰りもやるつもりだったDSを鞄に入れてAを車のドアにもたれかからせる様に寝かせ、柄にもなく自分の上着をかけた。
それから一時間半して、Aが起きると、少し嬉しそうに悟の上着を返してきたことに満足感を覚えつつ、照れ隠しに補助監督に呪術高専近くのラーメン屋におろしてもらった。
そして談話室にて迷惑かけたからと無理やりAに肩もみしろと言い、今に至る。

「いやあありゃ2級じゃないなあーってなって、先輩いるしいっかーて思って。」

「あとお前ラーメンの写真送れよ。」

「しゃあなしですよ？？私が写真撮るの上手だからって全く。」

「うぜえ。」

「なんだい？痴話喧嘩かい？」

談話室でわーわーと言い合いこしていれば、傑、硝子、日葵、灰原がそんな2人の会話を聞きつけてやってきた。

「聞いてくださいよ傑先輩、謎にマッサージさせられてるんですよ。」

「仲がよさそうで何よりだよ。」

「私の日本語わかりますか？」

にこにこと悟とAを見る傑にそういうと、他3人が噴き出すように笑う。
一度肩もみをやめて悟にラーメンの写真を送ると、また肩もみを始めた。
硝子の助け舟で肩もみをやめることができると、明日もまた授業だと言い訳して部屋に戻る。が、硝子を見送った後すぐに日葵に襟を掴まれて部屋に入ることを止められた。

「え、なに、え。」

「どうやってゲットしたの。」

「なにを？？？」

「連絡先！！！いつの間にそんな距離縮めたの！」

「あー。私が上手いことラーメンの写真撮ってたら送れって言うから…。」

「なんで一緒にご飯行く仲になってんの！！」

「さっき一緒に任務だったからだよ。」

如何にも恋バナ大好きな乙女日葵は声を殺しながらキャーキャー言っている。

「Aやっぱ五条先輩のこと好きでしょ。」

「そんなことないよ、硝子先輩曰く"ど屑"だよ。ないない。」

「とか言って、」

自分が好きになる節なんて思い当たらないと今日一日を思い返していると、いろいろと思い出してしまっては動きを止めてしまう。

「はい教えろーーーー。」

日葵はそう言って自分の部屋にAを引きこむと、クッションを抱きしめてキュンキュンする準備を始めた。