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「Aさん、イベントスタッフやってた時の方が楽しそうに見えます。
あの頃、緊張してる俺らもAさんの楽しそうに仕事する姿見て頑張れたみたいなところあるんですよ」
そう言って立ち上がって近寄ってくるうらたくん。
『うらたくん…?』
普段見せない男の顔で近付いてくるうらたくんが少し怖くなって後ろへ一歩下がる。
その時、またチャイムが鳴った。
『はい…?』
「あ、Aさん!
そらるさんにデータ貰いに来ました!あけてくださーい!」
そこにはまふまふくんが立っていた。
『あ、え?
まふまふくんの家に行ったのじゃないの…?』
そう言いながら鍵を開ける。
リビングに元気よく入って来たまふまふくんは、そらるさんはいないんですか?と能天気に声をかけてくる。
『さっき、出かけたの。
直前までまふまふくんに渡すデータを触ってたからまふまふくんの家に行ったんだと思ってたんだけど…』
「僕の方には連絡すら来てないですよ?」
「…まふ、あの噂本当かもしれない」
「うらたさん、本気であの噂信じてたんですか?」
うらたくんとまふくんが話している内容が私にはまったくわからなかった。
『2人とも、どうしたの?
あの噂って…?』
「そらるさんが浮気してるっていう噂です」
「うらたさん!」
悪びれもなくそういううらたさんと、それを止めようとするまふまふくん。
このままだとAさんがつらいだろ!とうらたくんが言うと諦めたようにため息をつくまふまふくん。
「最初は俺らの友達が町でそらるさんと女の人を見かけたのがきっかけです。
でも、そいつAさんのこと知らないから、俺らの中ではAさんだろうって話になってたんです」
「けど、僕らに何も言わずに打ち合わせサボったりも増えて、怪しいねって話になってて…」
「Aさん、今家政婦より扱い酷いっすよ。
ここから出るべきです。噂が本当なら、こんなこと許されない」
「僕も前々から思ってました。
そらるさんは大事な相棒ですけど、Aさんも僕にとっては大事な人なんです。
僕の家だと、そらるさん簡単に入ってこれちゃうんで、うらたさんの家で匿ってもらってください」
確かにまふまふくんの家はうちに合鍵がある。
まふまふくんは作業に没頭すると倒れることもたびたびあるのでそらるさんがほぼ強制的に合鍵を作ったのだ。
「ほら、行きましょう」
そう握られた手を、離すなんてことは私にはできなかった。
・→←いらないのなら俺が貰いますね、あ、これ、事後報告ですけど(うらたぬき)
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作者名:蘭人 x他1人 | 作成日時:2020年4月1日 22時