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誕生日当日。
『彼方、どこ行くの？』
昼頃、Aを家から連れ出して会場へと向かう。
すでに４人はスタンバイ済み。
会場に入ってAの背中を押す。
Aが部屋へ一歩入った瞬間、クラッカーが鳴り響く。
俺もAのうしろでクラッカーを鳴らす。
『わ、みんな、なんで…？』
だいぶ驚いたのだろう。
ぽかんとした表情で俺らを見つめる。
「誕生日おめでとうA。
結婚１周年も一緒の日だけど、今年はAの誕生日を祝いたかったんだ」
坂田が手にもっていた花束を俺に渡してくる。
それをAに渡す。
「俺だけじゃうまくいくか不安だったから、まふ、うらたくん、坂田、天月に頼んでこういう形にさせてもらった。
ちなみに、動画も撮ってるから」
会場のはじにおいてあるカメラを指してそういうとさらに驚くA。
なぜ今回動画をとることを俺が許可したのか。
答えは１つ。
「もうAのことを隠すのは辞める」
そう、リスナーさんにAの存在、俺の奥さんの存在を知ってもらうためである。
『でも…』
「俺がみんなに知ってもらいたい」
何か言いかけたAをそう遮ると涙をこぼす。
『ありがとう、彼方。
まふくんも、うらたくんも、坂田くんも、天月くんも』
泣きながら感謝を述べるAに４人がこちらこそいつもありがとう、と告げている。
「A、俺らは結婚していなかったらただの赤の他人だけれど。
そんなこと、関係ないくらいAを愛していくつもり。
これからも、俺をよろしくお願いします」
そう言って自分で買った指輪を渡す。
婚約指輪はあげていたのだが結婚指輪はあげていなかった。
この場を借りてようやく渡すことが出来た。
「結婚して１年。忙しくて後に回してきたけど、結婚式挙げよう」
これが俺にできる精一杯。
『彼方、本当にバカなんだから
…ありがとう、これからもよろしくお願いします』
涙を浮かべて笑うAは、どんな時よりも美しく、そして愛おしかった。
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作者名：蘭人 x他1人 | 作成日時：2020年4月1日 22時
