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『そこ、どうぞ』
自宅へ着き、リビングへと案内する
｢どーも｣
大人しくソファに座るセンラさん。
『それで…あの、』
｢坂田のことやけど｣
『ですよねぇ…』
思った通りの展開である。
｢うちの坂田がここ最近元気ないなぁと思って問いただしたらAちゃんと連絡取れてないって言うから来たんよ。
…なんで連絡してあげへんの？｣
『なんでもなにも、最初に意味わからないことを行ってきたのは悠なんです…』
そう言って1番最後に来たメッセージを見せ、電話の内容を簡単にセンラさんに説明する。
｢はぁはぁ、なるほどなぁ｣
納得したような相槌の後、大きなため息とともにセンラさんは頭を抱えた。
｢変な駆け引きすんなや坂田ァ…｣
『あの、駆け引きって？』
｢要するにあいつは、Aちゃんに別れたくない、会えないのも寂しいって言って欲しかったんやろうなぁ｣
｢だってあいつ、そのメッセージ送ってる時忙しいどころか録音も一段落してまとまった休みがあった時期やで。
…Aちゃんとたくさん会えるって喜んどった｣
…私の彼氏は、私が思っていた以上にバカだったらしい。
『…センラさん、ごめんなさい』
私も、意地を張って連絡しなかった。
それは、私に非がある。
『私から、連絡してみます。
悠は、待っててくれてるでしょうか？』
｢坂田にはAちゃんしか居らへんよ｣
優しい目に変わり、ポンポンと頭を撫でてくれるセンラさん。
こういう人がモテるんだろうなぁ。
｢もし、坂田がまだ意地張るようやったら俺んとこおいでよ｣
｢センラ、Aちゃんのこと幸せに出来ると思うよ？｣
にこやかな笑みを向けてそう告げるセンラさん。
『センラさんにはもっとふさわしい人いますよ。
…ありがとうございます』
｢振られてもうたぁ〜｣
オーバーリアクションで私を笑わせてくれるセンラさん。
数回しかあったことの無い人だけど、この人はとても信用できる人だと思う。
『センラさん、ありがとうございました。
私頑張ってみます』
｢ん、がんばりや｣
満足そうな笑みを浮かべて、センラさんはそろそろ帰るわ、と言ってタクシーを呼んで帰ってしまった。
『…電話、してみよう』
暫く開いていなかった彼とのSNS画面を開き、通話をタップする。
1コール内にガチャりと音がした。
｢…もしもし｣
『会いたい』
｢はっ…？｣
今私に出来るのは、きちんと自分の気持ちを伝えること。
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作者名：蘭人 x他1人 | 作成日時：2020年4月1日 22時
