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side_hokuto
そろそろ、
自分の涙を無視し続けることも限界だった。
抑えても震える肩と、止まらない涙が、
俺の弱さを際立たせる。
ふと、俺の頬を柔らかく温かな手が包み込んだ。
驚き目線を上げると、Aと目が合う。
A｢最後くらい、お互い…無理するのやめようよ。本当の…心の真ん中の気持ち、教えてよ｣
Aの声は、震えていた。
そして、泣いていた。
｢……ずるいよ｣
弱々しすぎる本音に、自分でも笑えてしまう。
｢…少し、話そうか｣
俺たちは近くのベンチに腰をかけて、
やっと、お互いの心の真ん中を吐き出しあった。
｢俺さ、Aのこと…運命の人だと思ってた｣
A｢運命？｣
俺たちの会話は、平然としたものだった。
それはたぶん、お互い察していたから。
これがいわゆる、"別れ話"なのだ…と。
｢運命じゃ、なかったのかなぁ…｣
A｢うーん…どうだろうね｣
"運命"だと信じ続けた俺と、
"運命"なんて、最初から思っていなかったA。
そんなふたりが、今まで過ごした時間は、
きっととても脆かった。
｢俺らの時間、無駄なんかじゃ…なかったよな？｣
A｢当たり前だよ、だって…楽しかったもん｣
｢…最初からこうやって、話せてたらなぁ｣
A｢飾らず、見栄を張らずに…｣
｢でもまぁ、この別れのおかげで、
Aと樹の"運命"が始まるんだよな｣
樹の名前を出すと急に、Aの顔は曇ってしまった。
｢なーに暗い顔してんの…、
ほら、最後くらい笑ってよ｣
俺はAの頭をクシャクシャっと撫でる。
Aの柔らかな髪に触れるのも、これが最後だ。
｢そろそろ樹のとこいってやって、
あいつ、待ってるから｣
A｢…ごめん｣
｢…じゃなくて？｣
A｢……ありがとう｣
｢こちらこそ、ありがとう｣
俺に向かって深く頭を下げるAは、
最後まで謙虚で、凛々しくて、かっこいい。
俺の中のAは、きっと永遠に、この姿なのだろう。
いくら歳をとっても、
たとえ性格が変わってしまったとしても、
俺のAは、今のこの美しい姿のまま…
それはきっと、とても幸福なことだ。
俺だけの、特別だ。
青春時代に出会えた幻のような存在。
俺の愛した幻は、綺麗なままで姿を消す。
でも、もしも…
いつの日か偶然、出会えることがあったら…
その日まで、幸せに。
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さいか(プロフ) - リリーさん» そんなふうに言っていただけるとすごく嬉しいです(;_;)ぜひまたリクエストがあればよろしくお願いします！ (2019年2月16日 23時) (
レス) id: f4b2406715 (このIDを非表示/違反報告)
リリー(プロフ) - すごいです！こんなに素敵になると思ってなくて何回も読み返しちゃいました！ありがとうございます！ (2019年2月15日 0時) (レス) id: 203fcc8e94 (このIDを非表示/違反報告)
さいか(プロフ) - リリーさん» リクエストありがとうございます！バレンタインにピッタリのお話が書けて嬉しかったです！！ (2019年2月14日 13時) (レス) id: f4b2406715 (このIDを非表示/違反報告)
リリー(プロフ) - 樹くんへバレンタインのチョコをプレゼント手作りしてプレゼントするのが読みたいです！お願いします(^ ^) (2019年2月12日 11時) (レス) id: 203fcc8e94 (このIDを非表示/違反報告)
さいか(プロフ) - リリーさん» リクエストありがとうございます！「�� - 雨降る日曜日 - 」にて、樹くんと女の子ちゃんのラブラブ書かせていただきました。ご要望に答えられたか心配ですが…ぜひ、読んでいただけたら嬉しいです！ (2019年2月12日 6時) (レス) id: f4b2406715 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さいか
| 作成日時：2018年11月19日 7時
