788 希望の布石 ページ31
試合再開。チーム01は三国さんを除く全員が攻撃に転じた。
ブレイクアタックの矛先は、依然として錦に向いている。一人に対して三人がマークについていることによって、ザンのディフェンスには僅かな綻びが生まれた。
「──今だ、ボールを俺に！」
その脇から剣城が飛び出した。パスを受け取り、前線へ上がっていく。
「『剣聖ランスロット』──《アームド》！」
弾丸の如きシュートが放たれる。そのコースにDFが立ち塞がったが、ボールは急カーブを描き、彼らの前を素通りしていった。
どこを狙っている──相手の顔にそんな嘲笑が浮かんでいたが、客席にいる私たちからは、ノーマークの黄名子が駆け上がってくるのが見えた。
「『暁の巫女アマテラス』──《アームド》！」
そして黄名子はこの土壇場で、初めてアームドを成功させた。
剣城のシュート、ではなくパスが通り、黄名子はゴールへ向けてそれを放った。
「『深淵のアギラウス』──『ギガバイトスクリュー』！」
そして。そのシュートは不落の化身技を破り、ゴールネットへ突き刺さった。
ザンから一点をもぎ取ることに成功したのだ。相手方は、信じられないといったように目を見開いている。
ここで試合終了のホイッスルが鳴った。
結果的に私たちは大敗を喫した……しかし最後にもぎ取った一点には大きな意味がある。
「次は私たちの番だね」
クロエが言った。私はその、決意の漲る瞳を見て頷く。
もう後はない。敗北は許されない。私たちは勝利しなければならないのだ──たとえチームワークが壊滅的だったとしても。
＊
第一試合終了後、私たち──チーム02の神童を除く雷門勢は、室内フィールドにて練習を行った。神童はキャプテン会議に出向いている。
ベータたちはいない。きっとそれぞれの場所で最終調整を行っているのだろう。
何もしないよりましだと思って身体を動かしてはいるが……明日の試合でフィールドに立つのは十一人。今四人で練習しているのは、正直付け焼刃に過ぎなかった。
「本当に大丈夫なんすかねえ……
束の間の休憩時間、狩屋が天井を仰ぎながら呟く。
言いたいことはわかる。チーム01は雷門選手の数が多いということもあって統率が取れていた──にもかかわらず、四点差で敗北した。私たちが挑めばどうなるかわからない、と感じているのだろう。
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作者名：キメラ | 作成日時：2023年11月5日 21時
