769 歪な存在証明 ページ12
そして私はふと、素朴な疑問に気が付いた。そもそもなぜ宣戦布告をしてきたのかということだ。
黙っているのもモヤモヤするので、私はおずおずと発言した。
「でも、敵がなんで今になってそんな提案をしてきたのかわからないんだけど……そんな凄い力があるんだったら今まで通りに戦っても、いずれは世界を支配できるんじゃ？」
この問いには、サカマキが答えた。
「自分たちの存在を認めさせたいのだ。それに……彼らには時間がない」
彼らは大人になれない。大半は二十歳になる前に寿命を迎える──。
「それ故に急いでいるのだ。自分たちの命があるうちに、世界をその手に収めようとな。ならば我々も、持てる力の全てを結集して彼らを倒す！」
倒すという言葉に、私たちは息を呑んだ。最悪な事態に陥る前に、芽を摘み取るというのか。だけどそれはあまりにも。
私たちの動揺を感じ取ったのか、トウドウは言葉を付け加える。
「殺すのではない、彼らに力を示すのだ。彼らは、自分たちの遺伝子こそが生き残るもので、我々は滅ぶべきだと主張している。彼らばかりが優れているわけではないと知らしめれば、彼らの考えを変えさせることができる。
そのために──君たちにはエルドラドのメンバーとして、ラグナロクで戦ってもらう！」
話が呑み込めてくると、大きな不安がゆっくりと体の中を巡っていった。
事態は私たちが想像していたよりずっと複雑で、深刻で、一刻を争っている。
邪馬台国──ひとつの国まるごとの命運がかかった試合でも、正直吐きそうなくらいのプレッシャーがあった。なのに今度は人類すべてがかかっているというのか。
ここで私たちがエルドラドの提案に乗らなければ、世界は破滅する……。
しかし、やはり。
「──やりましょうよ！」
こういう場面で一番先に前へ踏み出すのは、天馬なのだった。
「俺たちの目的は、サッカーを守ることですよね。そしてセカンドステージチルドレンは、サッカーの未来が生み出すもの……その彼らが世界を破壊してしまったら、サッカーを守ったことにならないです！
だったら
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作者名：キメラ | 作成日時：2023年11月5日 21時
