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急に私の部屋に入ってきたセンラさんに驚いて、私の目の前にいるなるせさんを突き飛ばそうと思い切りその胸板を押したが、ビクともしない。
と言うかセンラさんも私の部屋に何も無しに入ってくるのが意味がわからない。
「あ、あ、の、センラさん、ここ、私の部屋……」
「は?家畜の癖に俺に喋りかけんなアホ」
「う……」
とてつもなく冷たい瞳で睨みつけられてしまった。オマケになるせさんより低いのではないかという程にドスの効いた低い声を出されて、私は為す術なく黙り込む。
なるせさんはそんなのお構いなしに「センラじゃ〜ん!」と先程までの態度とは打って変わって、別人かと思うようなテンション感でセンラさんに手を振っていた。
「センラさんいつまでそんな冷徹クールキャラ続けてんすかぁ〜!俺がこの子頂きますけど〜!?」
「え、いや辞めてくださ、あっ、?」
ニコニコと笑いながら巫山戯たような口ぶりだったかと思えば、次の瞬間その笑みは消えて、今度はさっきと同じような表情に変わって、私の胸元に痛みが走った。
なるせさんの表情は妖艶な笑みを浮かべて居て、時折こちらを見て更に目を細める姿に目を奪われそうになる。
「え、血、吸って、」
「ん、…はぁ………んっ」
不思議とここの四人が血を吸う時のような痛みは全くなく、平然として居られるのが不思議なぐらいだ。血の気が引いていく気持ちが悪い感覚もないし、あるとするならば偶に触れるなるせさんのザラリとした舌の感覚が少し擽ったいぐら───
「あっ、あえっ?」
擽ったいぐらいだから大丈夫だと思っていた瞬間に、それら全てが体験したことの無いような感覚に変わる。なに?なにこれ?え?
何だか頭の中が真っ白になってしまうような、目の前に星がチカチカと点滅するような。
とにかく、何も考えられない。なに?なにこれ?なに?そうグルグルと疑問だけが頭に浮かび、この感覚をもっとずっと味わっていたいと思えるようなものだった。
「ひうっ、……んっ、んんっ……!」
「んっ……ふ…、は、」
腰がビクビクと動き、どうしていいか分からずになるせさんの方を見ていると、彼はやっと飽きてくれたのか私の胸元から口を離してくれた。
ゼェハァと肩で息をしながら、呼吸を整えていると、センラさんが大きく舌打ちをしたのに気付いた。そういえば、センラさんもこの部屋に居た。それを忘れてしまうぐらいに今の感覚は何だか危なかった。
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ちょこ - 終わってます!戻ってきてください!続き楽しみに待ってます! (2021年6月8日 18時) (レス) id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
鎖座波(プロフ) - 皇咲鈴音さん» びっくりしました誰かと思いました笑 みかんさんありがとうございます!本当嬉しいです大好きです(;;) (2020年10月28日 23時) (レス) id: 9beb0497a0 (このIDを非表示/違反報告)
皇咲鈴音(プロフ) - すごい名前になってますがTwitterのみかんです( めっちゃめっちゃ内容好きです!! (2020年10月28日 22時) (レス) id: 72e21fad30 (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃ(プロフ) - 物語の構成が好みすぎました!!更新おまちしております!!! (2020年3月27日 16時) (レス) id: c45d7c6a24 (このIDを非表示/違反報告)
鎖座波(プロフ) - nanaseさん» そのように言って頂き嬉しいです…!コメントありがとうございます!更新頑張ります…! (2020年3月8日 6時) (レス) id: 7dc015f2ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鎖座波 | 作者ホームページ:もう既に血が足りない
作成日時:2019年10月19日 15時