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写真部に入部して、一眼レフ初心者は先輩方から指導を受けたり、経験者は自由に活動したりと、
緩くて自由な部活に、私もほっこりと過ごしていた
カメラは父親の影響で幼い頃から興味があったからよく教わっていて、
だから私は経験者として、もう自由に一眼レフを持ち学校内を撮って回っていた
部活の時以外でも、朝、昼、夕、常に私は校内を歩いていた
みんなが何気なく過ごしてるこの教室も、
歩いたり、走ったりしているこの廊下も、
校庭も、中庭も、何気なく過ごしている休み時間も、
二度とは戻れない空間であり、シャッターを切ればその瞬間が一枚の写真となり残される
現像した写真をそんな何気なく過ごしてるみんなが見れば「素敵な写真！」と口を揃えて言ってくれる
気がつけば私は有名になっていたようで、
廊下を歩けば名も知らぬ生徒に“カメラちゃん”と言われ、私はそれに気づかぬ振りをしてレンズを覗く
なぜ校内を歩き続けるのか、それは簡単な理由だった
目に焼き付いて離れないあの先輩をひと目でもいいから見たかったのだ
名前もクラスもわからない、あっくんも教えてくれないから偶然会う事以外術はなくて、
僅かな希望を胸に、私は今日もカメラを持って校内を歩いた
あの部活動紹介から、一週間が経った日の昼休み
初めて通る廊下を進めば、1番奥に知らない教室を見つけ、
鍵も掛かっていなかったから少しドキドキしながらそのドアを開けた
誰もいない音楽室
僅かに開いている窓から入る風に揺れるカーテンと、その隙間から差し込む太陽の光が美しく、
「きれい」と呟いてシャッターを切った
音楽室はいつも吹奏楽部が練習場所としているから、
準備室と書かれた奥の部屋にはきっとたくさんの管楽器などが置かれていて、
一般生徒は入れないようにと、そこには鍵が掛かっていた
防音の音楽室のドアは押し引きで動かす白いドアで、
開いても、閉められても、あまりその音は聞こえない
だから私は今この場所に一人だと思い込んで、無我夢中にシャッターを切っていた
レンズを覗きながら体を動かした時、
開かれたドア、ドアノブに手をかけたまま私を見つめている一人の生徒がいるのにレンズ越しで気がついた
黒いケースを背負った、男子生徒
ダークブラウンの重い前髪を、少し目に掛けている
そう、その人は私がずっと探していた、
あのギターの先輩だった
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なあちゃむ(プロフ) - コメントの返信ありがとうございました！桜さんの作品は自分の頭の中で映画のように綺麗に想像することができるので本当に素晴らしいです。桜さんの作品、すべて読ませていただきました。どれも素敵で、読み直した作品もあります。これからも更新楽しみに待ってます。 (2016年8月10日 8時) (
レス) id: 525c05de2b (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - なあちゃむさん» 「また明日」っての方でもありがとうございます、とても嬉しいです、読んでくださる方の脳内で映像化されるような情景描写、美しく綺麗な世界になるように心掛けております、なのでお言葉とても嬉しく自信になります！書いてて良かったです、本当にありがとうございます (2016年8月1日 10時) (レス) id: 3a95ea47e4 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - 怜奈 桃ジャス民さん» 順調に進んでおられて良かったです、わかりました、応援していますね(^^) (2016年8月1日 10時) (レス) id: 3a95ea47e4 (このIDを非表示/違反報告)
なあちゃむ(プロフ) - 読んでいてその風景を思い浮かべることができました。ストーリーも本当に素晴らしくて、占ツクを読んで泣いたのは春紫苑が初めてです。本当に素敵なお話でした。また読み返します。 (2016年7月26日 17時) (レス) id: 525c05de2b (このIDを非表示/違反報告)
なあちゃむ(プロフ) - コメント失礼致します。初めまして、友達がオススメしているのを聞いて、久しぶりに占ツクにログインして春紫苑を読みました。私が期待していたイメージを遥かに超えて本当に素敵な作品でした。情景描写の美しさ、メンバーのキャラクター、すべてがイメージとぴったりで (2016年7月26日 17時) (レス) id: 525c05de2b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜
| 作成日時：2016年6月21日 1時
