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「照史くん、俺ここに住みたい」
俺の言葉に、後ろから優しく見守ってくれていた照史くんは「は…？」と声を震わせた
振り返れば照史くんは目をまん丸く見開き、少し瞳を揺らしていた
「…何言うてるん、ダメに決まってるやろ」
「なんで？」
「なんでって、…どっからどう見ても人が住めるような環境やあらへん」
「俺自分で掃除するからっ！床も壁も、天井だって全部雑巾で拭いてっ、蜘蛛の巣だって自分で取るからっ！」
「あかん、俺はお前を一人にしたくない」
「俺はっ…、」
「ほんまは嫌いなんやろ？一人になるのは大っ嫌いなんやろ？」
図星を突かれて言い返す言葉も見つからない
それでも、俺はここに住みたかった
幸せ過ぎないあたたか過ぎない、
窓を開けて身を乗り出せば、隣には照史くんの部屋が見えるこの場所が、
俺にはちょうどええって
「風呂もない、テレビもない、暖房もないっ
…そんなとこに住むんやないよ、大毅
俺と一緒に暮らそうや、一緒に飯食って風呂入って、一緒に川の字になっておやすみってさ、」
「…嬉しいで、こんなに良くしてもらえてほんまに幸せです、幸せ過ぎるくらいやわ
確かに一人が嫌いです、怖くてたまらへんよ、
けどな、照史くん、…俺強くなりたいんやっ」
お願いします、そう頭をさげると、
困った様子でため息を吐いた照史くん
怖くて頭を深く下げたまま目をギュッと瞑った
血が上っていき、顔が熱くなる感覚にふらふらする
「…わかった、じゃあせめて水回りとちゃんとした電気は設備しような、
業者さんに頼んどくから、工事が終わるまでは俺の部屋で寝泊まりするんやで」
「ほんまにええの？」
「おん、親代わりになるって決めたんや、
強くなりたい〜言われたら、男としても放っておけへんわ」
思わず照史くんに抱き着いた
俺を受け止めてくれる照史くんは心も体も大きくて、
ありがとう、ありがとう、何度伝えても伝えきれぬ感謝の気持ちは、
巣立つまでの間ちゃんと居酒屋で働いて、少しでも貢献して、
俺の人生をかけてお返ししていこう、
その時に俺はそう心に決めた
住所があるのかもわからない、俺の家
それでも俺は気に入っていた
勉強する時以外に電気を点けないのは、
部屋を暗くして、この空間に一人である事が気にならないように
キャンドルを焚いて、気を落ち着かせる為だった
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りぃな - 何度読んでも、涙が止まらない…最後の最後まで泣きっぱなしでした。とても綺麗なお話だなと思いました！桜さんが書くお話、大好きです！ (2020年12月21日 23時) (
レス) id: fbf75e46eb (このIDを非表示/違反報告)
ななこ - 三回ぐらい泣きました。小説でこんなに泣いたのは久しぶりでした。読んでいるだけで、その場面が想像できてとても感動しました。これからも楽しみにしています。 (2020年3月13日 17時) (レス) id: af202158c4 (このIDを非表示/違反報告)
なつき - 最後まで涙が止まりませんでした。ほんまにめっちゃ素敵なお話でした。これからも楽しみにしてます！ (2018年4月9日 16時) (レス) id: ebe0082db9 (このIDを非表示/違反報告)
ひまり(プロフ) - 占ツクでのコメント初めてで恐縮です。本当に本当に綺麗なお話でした。個人的には最後の授業の場面で和歌での会話が1番胸打たれ、思わずメモしてしまいました。桜さんのこれからのご活躍心からお祈りしてます。頑張ってください！！ (2018年3月31日 2時) (レス) id: c01e6017ae (このIDを非表示/違反報告)
ゆー - とても感動しました もし良ければ続編など書いて頂きたいです!! 桜さんの作品、本当に大好きです いつも読んだ後は 素敵な恋愛映画をみた後の様な気持ちになれます これからも楽しみにしています!! 頑張ってください（＾＾） (2017年4月6日 16時) (レス) id: 868e94a9c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜
| 作成日時：2016年5月21日 0時
