色 々 顔 《赤》 第二章

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照史くんに連れられ彼の家へと訪れた


案内されてすぐ照史くんの香りがするスウェットを渡され、「ゆっくり入り」とお風呂を貸してくれた





「俺汗っかきやからお風呂が嫌いなんやけど、浸かるとホッとするねんて」




そう言って、丁寧にひとつひとつお風呂場の説明をしてくれた


照史くんの言う通りだった


ホッとして、疲れが抜けていくようにふうっと息が漏れた







髪の洗い方はテレビで見た


オカンが見ていたドラマを横目に一人夕飯を食べてた時、男の人がシャワーを流しっぱなしで頭をゴシゴシ泡立てて洗っていた


初めはシャンプーとリンスの違いがわからなくて戸惑った


ボディーソープは英語からしてなんとなく察したけど、


お湯を流しっぱなしにするのはなんだかもったいない気がして、その時に見たドラマとは違う洗い方を自ら見つけた


小学校の修学旅行の時、神山はそれが正しいんやでと褒めてくれた


ただシャンプーを出来るようになった今でも、


リンスは何のためにやるのかはわかってない









「お風呂、ありがとうございました」


「おっ、おかえりー、さっぱりしたやろ」


「はい！気持ちよかったです、」








次に照史くんがお風呂場へ向かったけど、


驚きの早さで上がってきた


シャワーだけでええねんと、Tシャツをパタパタとさせて戻ってきて、


もう冬がすぐそこにある秋だというのに半袖姿の照史くん


それがおかしくて俺は笑っていた









「…大毅お前めっちゃ綺麗に笑うんやな」


「え？」









くしゃっと笑って照史くんは布団を敷き始め、


二つ布団が並んで、照史くんが寝転んだ反対の布団に俺も座った









「…照史くんは何も聞かないんですか」


「堅苦しいなぁ、敬語なんていらんで、

…じゃあ一つだけ質問な、

大毅そこの中学やんな、何年生なん？」


「うん、三年」


「三年かぁ、受験生なんやね〜」









下から聞こえる声に、ハッとした


“受験生” そう、俺は受験生なんだ


先が見えなくなって、頭が真っ白になった









「…大毅？」


「…なあ、照史くん、

中卒でも働けるところってあるんかな」


「受験は？せぇへんの？」


「親に捨てられて金もないのに、そんなこと言ってられへん…」









照史くんが起き上がるのを感じた


隣で胡座をかいて、照史くんは俯きがちに頭を掻いて、何かを考えてるかのように、


深く息を吐いていた








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