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次の日の4限、ついに最後の授業の時間になった
寂しい気持ちを胸の奥に仕舞い込み、ふうっと息を吐いて教壇に立つ
少し後ろの方の真ん中の席、重岡くんが私を見つめていた
そんな視線を感じながら始まる、最後の授業
「私の出した課題、みんなやってきてくれた？」
その前の授業の時に私はみんなに頼んだ
“何かひとつでもいい、好きな和歌を教えて”と
少しでも古典の世界に触れて欲しくて、面白さを知って欲しくて、
教科書からでも古文の本からでもなんでもいいから、
意味はわからなくてもいい、
ただ、惹かれたものを一つ、教えてくださいと
小さく頷く生徒たち、挙手制で発表させていった
恥ずかしそうに言う子も、胸を張って堂々と発表する子も、どれもみんな個性的で、
誰一人として被らないのも、すごい事だなぁと感心しながら、
好きな和歌に人柄が表れていて、どういう子なのかわからなかった子達まで、手に取るようにわかるようで胸をワクワクさせていた
「…うん、素敵な和歌ばっかりだね、
先生ね、初めから古典が好きだったわけじゃないの、
教師になるために何か得意な教科を見つけなきゃって、そう考えた時にいつも点数が良かったのが古典だったのね？
だから特に深い興味もなかったのに、古典選択して必死に勉強した
そしたらびっくりするほど楽しくってさぁ…古典って嫌いな子多いじゃない？
だからこうやってみんなが一つでも惹かれた和歌を詠んでくれたの、私は嬉しいです」
「ありがとう」と私が笑えば、生徒たちもニコニコと笑っている
最後の授業は授業らしくなくていい、伝えたい事を伝えて来いと�霤沈菁擇�らのアドバイス
これでいいんだと、噛みしめるように生徒一人一人の顔を見つめた
「…もう、みんな発表してくれたかな？」
「…はい、」
すっ…と手を挙げたのは、ずっと私を見つめて離さなかった重岡くん
「俺、まだです」と、真剣な目をした彼がそこにはいて、
ゴクっと息を飲み、吸い込まれるようなその目が私を捉えて離さなくて、
「…じゃあ、重岡くん」
その場に立ってその場で発表して良いのに、
彼は椅子をガタッと机の中に仕舞い、教壇に立つ私へと近づいた
ちらっと私を目で見下ろして、新品で長い白いチョークを手に取り、
絵を描くように、黒板に彼の字がスラスラと綴られていく
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りぃな - 何度読んでも、涙が止まらない…最後の最後まで泣きっぱなしでした。とても綺麗なお話だなと思いました！桜さんが書くお話、大好きです！ (2020年12月21日 23時) (
レス) id: fbf75e46eb (このIDを非表示/違反報告)
ななこ - 三回ぐらい泣きました。小説でこんなに泣いたのは久しぶりでした。読んでいるだけで、その場面が想像できてとても感動しました。これからも楽しみにしています。 (2020年3月13日 17時) (レス) id: af202158c4 (このIDを非表示/違反報告)
なつき - 最後まで涙が止まりませんでした。ほんまにめっちゃ素敵なお話でした。これからも楽しみにしてます！ (2018年4月9日 16時) (レス) id: ebe0082db9 (このIDを非表示/違反報告)
ひまり(プロフ) - 占ツクでのコメント初めてで恐縮です。本当に本当に綺麗なお話でした。個人的には最後の授業の場面で和歌での会話が1番胸打たれ、思わずメモしてしまいました。桜さんのこれからのご活躍心からお祈りしてます。頑張ってください！！ (2018年3月31日 2時) (レス) id: c01e6017ae (このIDを非表示/違反報告)
ゆー - とても感動しました もし良ければ続編など書いて頂きたいです!! 桜さんの作品、本当に大好きです いつも読んだ後は 素敵な恋愛映画をみた後の様な気持ちになれます これからも楽しみにしています!! 頑張ってください（＾＾） (2017年4月6日 16時) (レス) id: 868e94a9c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜
| 作成日時：2016年5月21日 0時
