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「だから学校ではっ…」
私が慌てて重岡くんを突き飛ばし、後ろに手をつき俯く彼に向かって震えた声でそう言っても、
顔を上げない、目は前髪で隠れていて、
今彼がどんな気持ちなのか知ることはできなかった
「ごめん」
そうたった一言を残して、最後まで私に顔は見せずに重岡くんは走ってその場を去る
「待って！」と手を伸ばしても、彼には届かない
6限の終わりのチャイムが鳴った
重岡くんの走る足音とチャイムの不協和音
彼と学校で一緒にいられるのも、あと４日
明後日が私が彼のクラスでやる、最後の授業
また明日になれば、何事もなかったように笑ってくれるかな
左目の下に笑窪を浮かべて「せんせ」って呼んでくれるかな
なんだよ、私もう頭の中重岡くんでいっぱいじゃないか
私の気持ちなんて知らないで、重岡くんはまた私の心をかき乱すんだ
「…嫌だなぁ、こんな最後は嫌だよ重岡くん」
そうだね、何もおかしくなんかないね
私が来年教師になれてここに戻ってこれたとしても、
重岡くんはもう、卒業しているんだもんね
けどその時は周りの目を気にすることなく恋人になれるんじゃないの？
重岡くんは何が不安？
ああ、そっか
策士で優しい罠を私に仕掛けたあなたでも、自分の事になると鈍感なんだ
私があなたに堕ちたなんて、これっぽっちも気づいていないから
.
「あれ、…Aちゃん？」
「え？」
「やっぱり！久しぶりやな、…俺の事覚えてる？」
ふらふらと自販機の前から職員室へ向かい、
「お先です」と、誰よりも早く校門を出た時にそう声をかけられた
車に体を凭れかけた、見覚えのある男の人
サラサラと茶色い髪を靡かせる、綺麗なその人は優しく目尻をくしゃっとさせて私に笑い掛ける
「…中間先輩、」
「良かった、覚えててくれた」
変わらない笑顔
私に告白してくれた時も、ごめんなさいと答えた時も、
その笑顔を見せて「ありがとうな」と言った中間先輩
お礼を言われたわけもわからず、戸惑う私の頭を撫でて何も言わずに�霤沈菁擇里箸海蹐北瓩辰胴圓辰�
それを最後に一度も会わなかった、中間先輩
「6年振りか？」
「そう、ですね」
「…そっか〜」
目を伏せる中間先輩は見惚れるほどに綺麗で、
視線に気づいて「ん？」と首を傾げるその姿も、
絵画のように美しかった
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りぃな - 何度読んでも、涙が止まらない…最後の最後まで泣きっぱなしでした。とても綺麗なお話だなと思いました！桜さんが書くお話、大好きです！ (2020年12月21日 23時) (
レス) id: fbf75e46eb (このIDを非表示/違反報告)
ななこ - 三回ぐらい泣きました。小説でこんなに泣いたのは久しぶりでした。読んでいるだけで、その場面が想像できてとても感動しました。これからも楽しみにしています。 (2020年3月13日 17時) (レス) id: af202158c4 (このIDを非表示/違反報告)
なつき - 最後まで涙が止まりませんでした。ほんまにめっちゃ素敵なお話でした。これからも楽しみにしてます！ (2018年4月9日 16時) (レス) id: ebe0082db9 (このIDを非表示/違反報告)
ひまり(プロフ) - 占ツクでのコメント初めてで恐縮です。本当に本当に綺麗なお話でした。個人的には最後の授業の場面で和歌での会話が1番胸打たれ、思わずメモしてしまいました。桜さんのこれからのご活躍心からお祈りしてます。頑張ってください！！ (2018年3月31日 2時) (レス) id: c01e6017ae (このIDを非表示/違反報告)
ゆー - とても感動しました もし良ければ続編など書いて頂きたいです!! 桜さんの作品、本当に大好きです いつも読んだ後は 素敵な恋愛映画をみた後の様な気持ちになれます これからも楽しみにしています!! 頑張ってください（＾＾） (2017年4月6日 16時) (レス) id: 868e94a9c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜
| 作成日時：2016年5月21日 0時
