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首筋にキスを落とした重岡くん
熱い舌を感じて、思わず彼の後ろ髪を掴んでしまう
ゆっくりと離れ、艶やかな目で私を見つめる
「…せーんせ、」
「…ん？」
「俺にせんせーをくださいなんて言うたけど、
俺が欲しいのはせんせーのカラダやないで」
「何が欲しいの？」そう尋ねれば、
「Aさんのココロが欲しい」
そんな甘い声、甘い言葉、優しい笑顔
溶かされたように脳内は熱くなり、頭を撫でる重岡くんの大きな手にでさえ意識は持って行かれた
重岡くんの先に見える天井からは、強く打つ雨の音が聞こえる
「…せんせー、俺、
二年前からずっと忘れた事なんてなかったよ、せんせーの事、…Aさんの事想ってました」
「二年、…えっ？まさか重岡くんっ、…」
私に言葉なんて発せさせない
少し乱暴に重ねられた唇、初めて彼は深くキスをした
苦しそうな重岡くん、何と闘っているのかはわからない
酸素を求めて僅かに開けたその隙から舌が入り、器用に彼はそれを絡める
どちらの唾液かもわからなくなるほどのキス
完全に虜にされていた
クラクラとする脳内、夢中になってそのキスを受け入れていた
しばらくして苦しくなり彼の胸元をトントンと叩けば、ゆっくりと離れてくれた
熱いキスを受け入れた私は気がつかなかった
私のものではない涙が、いくつもの涙が私に伝うのを
流れきったものも、今もなお落ちてくるその涙にも、
彼が離れるまで、気付いてやれなかった
「…重岡くん？」
私の首へ手を回し、互いが座るように抱き寄せる
視線の先にある玄関が強い風に揺れていた
鼻を啜り、苦しそうに涙を流す重岡くんに強く抱き締められながら、
私もそっと、彼の背中に腕を回した
「好きです、ほんまにせんせーの事が好きです
赤色の傘、今でも俺の宝物です、
俺初めて恋をしました、初めて大切にしたいと思える人ができました
…けどせんせーは捨て犬なんかやない、
お願いやから簡単にあんなこと言わんといてッ
…なあ、せんせ？俺の昔話聞いてくれますか、
……ううん、聞いてください」
ゆっくりと語られたのは、壮絶な彼の過去
あの時あの時の、重岡くんの本当の気持ち
私の事を大切に想ってくれる綺麗な彼の愛
一番苦しかったのは重岡くんなのに
私の苦しみまで背負わせてしまった事に、
胸はギュッと締め付けられた
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りぃな - 何度読んでも、涙が止まらない…最後の最後まで泣きっぱなしでした。とても綺麗なお話だなと思いました！桜さんが書くお話、大好きです！ (2020年12月21日 23時) (
レス) id: fbf75e46eb (このIDを非表示/違反報告)
ななこ - 三回ぐらい泣きました。小説でこんなに泣いたのは久しぶりでした。読んでいるだけで、その場面が想像できてとても感動しました。これからも楽しみにしています。 (2020年3月13日 17時) (レス) id: af202158c4 (このIDを非表示/違反報告)
なつき - 最後まで涙が止まりませんでした。ほんまにめっちゃ素敵なお話でした。これからも楽しみにしてます！ (2018年4月9日 16時) (レス) id: ebe0082db9 (このIDを非表示/違反報告)
ひまり(プロフ) - 占ツクでのコメント初めてで恐縮です。本当に本当に綺麗なお話でした。個人的には最後の授業の場面で和歌での会話が1番胸打たれ、思わずメモしてしまいました。桜さんのこれからのご活躍心からお祈りしてます。頑張ってください！！ (2018年3月31日 2時) (レス) id: c01e6017ae (このIDを非表示/違反報告)
ゆー - とても感動しました もし良ければ続編など書いて頂きたいです!! 桜さんの作品、本当に大好きです いつも読んだ後は 素敵な恋愛映画をみた後の様な気持ちになれます これからも楽しみにしています!! 頑張ってください（＾＾） (2017年4月6日 16時) (レス) id: 868e94a9c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜
| 作成日時：2016年5月21日 0時
