エンディングノート ページ2
「…あと、2週間以内には死んじゃうんだ……。」
意識が戻って、怪我もないことを知って喜んでいた私に告げられたのは
脳内が真っ白になる一言だった。
神様は、なんでこんなにも残酷なのだろう。
どうせ死ぬのであれば、このまま死んで行けたならよかったのに。
「さかたんを忘れて…死んでいくなんて、そんなのやだよ…。」
ひとつ、ふたつとシーツにできる水たまり。
あれだけ泣いたのに、涙は止まることを知らずに流れていく。
何か、何か残していけないだろうか。
彼を悲しませないために、彼のために。
そんな私の脳内に、よぎったのが、この前の母との会話だった。
『おばあちゃんがね、自分が死んだらこれをして、こんな感じで送り出してほしいって希望を
ノートに書いていってるのよ。ボケる前にやっておかないとって。』
「へぇ…」
『今そんなのが流行ってみるみたいね、エンディングノートって言うんだって。』
―――エンディングノート。
そうだ、私が私であるうちに。彼との思い出を、最期の過ごし方を。
「せっかくなら、赤いノートがいいな。」
外出できるうちに、病院の近くにある雑貨屋さんでおしゃれなノートを探す。
赤は、彼のイメージカラーであり私の大好きな色だ。
「あ、これがいい……」
そうして手に取ったのは赤い表紙に、金色のリボンがあしらわれている可愛らしいノートだ。
それに、赤いシャーペンと色々な色のペンを買って病室に戻る。
今度はエンディングノートが何かを調べていく。
エンディングノートとは遺書みたいに法的能力があるわけでもなく。
遺書のように死に関して書くものでもなく、ただ今までの思い出やこの後の希望を遺すものらしい。
「思い出、か……」
最初には、これから私が書いてあるということの証拠を。
そこから、私が死ぬまでに愛する彼にしてほしいことを。
そして、死んだ後のことを。
その後には、彼との思い出をたくさん書いた。
初めて会ったときのこと、告白のこと、デート行ったり旅行行ったり
1回だけ大げんかもしたなぁ…その時は辛かった。
そして、最後のページには彼に送るラブレターを。
私は、いい子じゃないから。
よくドラマで見る『私のことは忘れて幸せになって』なんて絶対に言えないだろう。
「……できた。」
さかたんがいない隙を見て、夜遅くまでかかって仕上げたそれ。
ところどころが滲んで読みにくいのは許してほしいな。
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や-さん(プロフ) - 涙がとまりません…とても素晴らしい作品です!! (2019年5月22日 3時) (
レス) id: ec5ca44496 (このIDを非表示/違反報告)
トーストぱん(プロフ) - ボロ泣きしました…悲しくて悲しくて涙止まんないのに所々キュンキュン所あってまたすぐ悲しくなって後半は泣きっぱなしで読んでました…素晴らしい作品ありがとうございました…！ (2019年5月20日 11時) (レス) id: 2929f04cfc (このIDを非表示/違反報告)
Elice(プロフ) - 関西風しらすぅ@坂田家さん» 蒸しタオルのせて何とか回復してください…！こちらこそ読んでいただきありがとうございました！ (2019年5月19日 2時) (レス) id: 2363fe1fb7 (このIDを非表示/違反報告)
Elice(プロフ) - ゆきさん» 感動していただけてよかったです、ありがとうございました！ (2019年5月19日 2時) (レス) id: 2363fe1fb7 (このIDを非表示/違反報告)
Elice(プロフ) - 三日夜 雪璃さん» そう言っていただけて嬉しいです、読んでいただきありがとうございました！ (2019年5月19日 2時) (レス) id: 2363fe1fb7 (このIDを非表示/違反報告)
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