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【センラ】だうそりなにいらき/sera ページ42

*



恋愛が、怖くなった。


優しくしてくれて、好きって言ってくれる彼から無限に湧いてくる肯定に、どんどん惹かれていった。

レポートを期限より少し早く提出しただけで「偉いね」って言ってくれる。
ヘアメイクを頑張っただけで「可愛い」って言ってくれる。
少しでも疲れてたらすぐに「大丈夫?」って優しくしてくれる。

初めはちょっと怖いなって思ってた。けどどんどん惹かれて、恋に落ちて、堕ちた。

私たちが恋人という関係に進むまで、時間はかからなかった。

でも。


「別れたい」

「…え、ど、どうしたの急に。…私、何かしちゃった…?」


同じ時間に大学の講義が終わるため、いつもの待ち合わせの場所に行くと、すぐ私にそう告げる彼。

怖くて、でも逃げちゃいけないって思って、彼に目を合わせた。けど、すぐ逸らされた。


「あーもう、めんどくせ。重いんだよ。つーか、初めっから好きじゃなかったから」

「…な、んで」

「顔だよ、かーお。可愛い彼女連れてたらかっこいいだろ。そんだけ」


首に手をやり、斜め下を向く彼。優しくて私に甘い紳士的な彼は、もうそこには居なかった。

頭が空っぽになって、地面が硬さを失う。ぐらぐらと視界が揺れて、次第に形も鮮明さがなくなる。頬に冷たいものが静かに伝う。


「…じゃ、これでお別れ。おしまい。俺らはこっからはただの他人。サヨナラ」


カツカツ、と私が一昨日プレゼントした靴の踵を鳴らして去っていく元カレ。…いや、他人。

何で私、あんなやつを好きになったんだろ。…私って、何なんだろう。
思考が熱を遠ざけて冷たく澄んでいった。

くそ野郎だ。サイテーだ。世の中あういうクソ男に溢れてるんだ、きっと。

私をちらちらと見ながら通り過ぎる文学部の人。見てみぬフリをして離れていく医学部の人。見向きもしない理工学部の人。
全部全部ぜーんぶ、中身は真っ黒で私のことをただの都合の良い女としてしか見ない奴らなんだろう。


「…大丈夫?」


じゃあ、私に手を差し伸べて微笑む法学部のあなたは?

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なのなの-VII(プロフ) - 以前から気になっていたのですが、時間がなく、やっと拝見させていただくことができました。私の少ない語彙力では、気持ちを全て伝えることができないことが悔しいです。なので、一言だけ。とても、素晴らしかったです。 (2019年12月9日 23時) (レス) id: 3d69e77dfd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:作者一同 | 作者ホームページ:***  
作成日時:2019年4月29日 23時

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