好きだよ、ヒビキ。

○○しないと出られない部屋 ページ8

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10分間ハグしないと出られない部屋

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『ねぇ、ヒビキ』

｢なに？｣

『ここ、どこ…？』

｢さぁ…？｣


私たちは今、真っ白い何も無い部屋にいます。

なぜなら遡ること1時間ほど前。

私たちはいつも通り一緒にバトルの特訓をしていました。

そしていつも通り私が負けて、目の前が真っ暗になった。

そして目が覚めて気がつくとここの部屋で寝ていたんです。

隣ではヒビキも寝ていて、頭が真っ白になりました。

そして今ということです。



｢僕たちバトルしてたよね？｣

『うん、あれ？あそこなにか書いてある』


ぐるっと辺りを見渡せばドアがあって、看板がぶら下がっていた。

その看板には

｢『10分間ハグしないと出られない部屋…？』｣

どういうこと？


『…とりあえず、してみる？』

｢え‪”‬ｯ｣

『なに、やなの？』

｢いや別に嫌じゃないんだけど｣


そう言いながらヒビキは手を広げた。

広げられたからには抱きつかないわけにはいかない。



「…」

『…』

「なにか、喋ってよ」

『なんで？』

「…恥ずかしいから」


普段いつも一緒にいるけど、ハグとかしない。

ハグどころか手を繋ぐこともしない。

というより付き合ってもない。

私たちは10歳で子供だからいいだろうと思うだろうけど、10歳には10歳なりの恥ずかしさがある。

幼馴染だけど、異性としかも好きな人ときた。

恥ずかしくないわけがない。


「ねぇ、ドキドキしてる？」

『…してない』

「うそ、心臓の音僕にまで響いてる」

『それは、ヒビキもでしょ』

「…うん」


ﾋﾟﾋﾟﾋﾟﾋﾟﾋﾟﾋﾟﾋﾟ


そこで10分を知らせるタイマーが鳴った。


「終わった…」

『そ、うだね』

「…」

『…』

「出よっか」

『うん』



部屋を出てもずっとお互い無言だったけど、ヒビキの赤くなってる顔を見たら嬉しくなった。

ずっと一緒にいるから恥ずかしがられないかなとか思ったけど、恥ずかしがってくれて良かった。




でも、いつかは理由がいらずにハグができる関係になれたらいいな。

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