懐古 ページ8
白ひげ海賊団・マルコside
目の前で、Aがユリアを拷問している。
ユリアはまだ事実上、家族のはずなのに、俺の身体は動かなかった。
俺達が罰を与えるべきなのだろうが、今の俺達に罰を与える権利はない。
かといって、止める権利もない。
ただただ、傍観するだけだ。
四方八方の方向に体を殴られ蹴られ、顔や体が腫れ上がっていく。
気絶しそうになっても、死にそうになっても、Aの能力でどんな怪我も完治してしまう。
コレが、生き地獄というものなのだろうか。
そう思いながらユリアをぼんやりと見つめる。
ユリアの首には、Aに誕生日プレゼントで渡した、蕾がピンクサファイアで出来ている銀細工のバーベナのネックレスが付いていた。
ピンク色のバーベナの花言葉は、《家族愛》。
コレをプレゼントしたときの、Aの明るい幸せそうな笑顔が思いだされる。
A「これ……ずっと、ずっと大切にする！死ぬ前まで、いや、死んだ後まで持っていく！」
おどけたような物言いでプレゼントの箱をキュッと抱きしめて、太陽のように眩しく笑う彼女は、どこへいったのだろうか。
記憶の中を探っても探っても、太陽のように眩しく笑う彼女は見つからない。
それどころか、彼女の顔にはもやがかかり《笑っていた》という事さえも分からない。
彼女はどういう風にして笑っていた？
血色の良いが、海賊とは思えない程白い肌。
鈴の音のような、キレイな笑い声。
弧を描く桃色のかわいらしい唇。
そんな彼女の面影は、今の姿には全く残っていなかった。
頬はこけ、肌は病人のように白い。
ハイライトのない、ただの黒がかった紅色の瞳。
無機質な機械のような雰囲気。
俺達がこんな風に変えてしまったのだ。
あんなに喜怒哀楽の激しかった妹が、何も感じさせない無機質な表情をしている。
Aはいった。
A「こんな事？なにいってるんですか。これはあなた達白ひげ海賊団が、私にしたことですよ？」
やけにその言葉は胸に残った。
私「違うと否定しても、私の主張など全く聞かず、殴って、蹴って、切って、撃って、焼いたんじゃないですか。」
頭に稲妻が走ったような衝撃がはしる。
そうだ、俺達は、彼女に、攻撃した。
何度も何度も、死ねばいいと、攻撃した。
なんて事をしたのだろうか。
なんで……どうして、彼女を傷つけたのか…。
本当に、すまねぇ…！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1278人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ラピ(プロフ) - 黒糖さまでーすさん» え？？？自分兄に言われた。似たもの同士ですねw (5月28日 1時) (
レス) @page27 id: 1d36f8c737 (このIDを非表示/違反報告)
そらうみ(プロフ) - こんな可愛い夢主ちゃんになんてことしたの!!!( *´˘`*ꐦ) (2023年4月5日 23時) (レス) @page27 id: bad6308fcb (このIDを非表示/違反報告)
黒糖さまでーす - 感動してめちゃ泣いてもうた、(´-ω-`)姉に「なに、？急に泣き出してキッショッッ」って言われました。泣きました←感動ではなく姉にシンプルにディスられたからです (2023年3月9日 1時) (レス) @page27 id: b07dd8e215 (このIDを非表示/違反報告)
翠(プロフ) - お忙しいでしょうに、更新ありがとうございます。作者様のペースで構わないので、無理はなさらずに。今回も本当に細かく作り込まれていて本当に好きなお話です。応援しています。 (2023年1月24日 19時) (レス) id: f20ef134dd (このIDを非表示/違反報告)
【湖の宝石】(プロフ) - 続き、お待ちしております (2022年11月19日 9時) (レス) id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
