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「ねえ、どう思う?」
お昼休み。
ミンギュが持たせてくれたお弁当を食べながら、パンを頬張るウォヌに訊いた。
「は? 唐突過ぎて分からないんだけど」
「ごめん。これから話す事を信じて聞いてほしいの」
「なに。怖いんだけど」
わたしはウォヌに顔を近づけ、小声で言った。
「あのさ……普通の人とは思えないほどの能力を持っている人がいるんだよね」
「へえ。どんなの?」
「全てが異常なの。記憶力、早すぎる速読能力、力持ちで……全てを完璧にこなせれる人がいてさ」
わたしはミンギュの事を、直接彼の名前を出さずにウォヌに話した。
なるほどね、とウォヌは考える表情を浮かべる。
「……その人、障害は持っていない?」
「多分ない。でも、初めて出会った時はあんまり話してくれなかったけど、知り合っていくうちに急にたくさん話してくれるようになったくらい?」
「んー……。俺が思うには、“サヴァン症候群”じゃないかな、と思うんだけど」
サヴァン症候群とは、知的、発達障害があり特定の分野に特化した能力を発揮する方の事を言う。
「それはひとつの事に特化したって感じでしょ? 彼の場合、ひとつじゃなくていくつも完璧にこなすの」
「まあ。世の中、何十億人といてそのうちのひとりがそうだったって事もあるかもなあ」
「そうなのかな?」
だとしたら、この出会いは奇跡だけどね。
「気になるなら、専門の病院紹介するけど」
「ありがとう。その時はお願いしようかな」
ウォヌはわたしの話を疑わずに聞いてくれ、親切にも病院を紹介してくれとも言ってくれた。
でも、誰かに話した所で彼の事について分かった事はなにひとつ無かった。
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作者名:菜々子 | 作成日時:2019年5月15日 11時