白昼夢は闇を見せない (ページ29)

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#29バーノンページ29

「……姉さん。休暇はいかがお過ごしでした？」

「やることはやって、後はトレーニングをして過ごしたよ」

「はあ。相変わらず仕事熱心ですね」

僕が今の組織に入ったのは、姉さんが入った1年後だった。

その時からも任務に対する熱意は熱く、片っ端からシャドウを討伐しまくっていた。

なんとなくだけど、姉さんはシャドウに対して強い殺意のようなものを持っていると感じている。

その理由は、姉さんがこの組織に入ったきっかけでもあるんだけどね。

僕はその気持ちがものすごく理解できる。

……僕の親友は、シャドウに殺された。

彼はアイドルとしてデビューしたばかりで、これからって時だったのに。

家族がいない僕にとって、彼は唯一、心許せる人間だったんだ。

「昨日ね、あの人が夢に出てきたの」

姉さんは焦げた枝たちを処理しながら、話してくれる。

「……もう来なくていいって言われちゃった。未練たらしいって思われてるのかな」

「違うと思いますよ。きっと、前に進んでほしいってそういう意味で言ったんじゃないんですかね」

「うん……分かってるんだけどね」

姉さんは空を見上げる。

そして、ゆっくりと目を閉じた。

「全部終わるまでは、難しいなって思う」