#21ジョンハン ページ21
エイトはソラよりも神経質なようで、微かなシャドウの気配も逃さず、必ず仕留めていた。
シャドウという俺たちを襲う化け物は、割とどこにでも潜んでいるそうだ。
用を足すためにトイレの個室で一息ついていると、扉の隙間からシャドウがやってきて襲われそうになると、扉の上の隙間から細い体を滑りこませて、エイトがやってきて素早く処理をしてくれたり。
長時間の収録で、息が詰まりそうだったので少しだけ外の空気を吸おうとした時もどこからともなくシャドウがやってきて、その度にエイトが処理してくれた。
しまいには。
「あなたを監 禁してシャドウを誘き寄せれば、いつか全てのシャドウを討伐できそうです」
と、真顔でエイトに言われた。
それくらい、俺は異常にシャドウを引き付ける体質のようだ。(もちろん姿を見たせいでもあるけど)
「そういえば、今日ソラは何してんの？」
次の現場へ移動しているバンの中で、ふとエイトに話を振った。
会話のタネを与えたつもりだったが、彼は不機嫌そうに少しだけ眉間にシワを寄せる。
「……大切な人に会ってます」
「ふうん。恋人？」
「プライベートなのでノーコメントです」
「まあ、そうだよな」
本人がいないところで変な詮索はしないでおこう。
でもミンギュが聞いたところ、恋人はいないような返答だったし……家族とか、かな。
「……彼女のことが気になるんですか」
静かにエイトがそう尋ねる。
「別に。なんとなく訊いただけだよ」
「そうですか」
少し間を置いて、彼は言った。
「彼女には、これ以上近づかないでください」
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作者名：菜々子
| 作成日時：2022年11月22日 19時
