#43ジョンハン ページ43
父にAと俺に何があったのか、簡単に説明した。
最初は戸惑っていたが、今はまだ混乱しているから、少しずつ理解していきたい、と父は言った。
「母さんは相変わらず?」
「うん。でもだいぶ回復したんだ。Aは死んだのだと、ようやく受け入れようとしていた時期だった」
「そっか……」
Aは10年ぶりに再会した母と楽しそうに会話している。
なんとか上手く話しをつけているようだ。
俺は今まで避けていた質問を、父に投げかける。
「……怒ってる?」
「何が?」
「俺が父さんと母さんから逃げたこと。本当は俺も父さんと一緒に母さんを支えてあげなきゃいけなかったのに」
「怒ってないよ。逆にハナは父さんに怒りたいこと、たくさんあるだろう?」
父さんは微笑みながら、俺の頭を撫でてくれる。
鼻の奥がツンと痛くなった。
「怒っているというか、謝んなきゃって思ってる」
「謝るのは父さんのほうさ。もっとハナのことを気にかけるべきだったんだ」
「……これからたくさん、家族の時間を作るよ」
「うん。楽しみにしてるよ」
その時、母さんが俺のほうを見た。
「ハナ。あなたの活躍見てるわよ。離れている間にこんなに立派になったのね……。さすがわたしたちの自慢の息子よ」
「……母さん」
「おいで」と母さんは両手を広げる。
母さんは俺のことをちゃんと見てくれていたんだ。
なのに、俺は……。
「ごめんなさい……」
俺は母さんに抱き着いた。
「ハナ。ごめんね」
「うん……。俺も、ごめんなさい」
「そうだな。全てお前が悪い」
感動の再開もつかの間、聞き覚えのあるしわがれた声が耳元でした。
まずいと思って離れようとしたが、遅かった。
「お前だけは死ね!」
シャドウの生き残りが、母さんに憑いていた。
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作者名:菜々子 | 作成日時:2022年11月22日 19時