スパイになれなんて聞いてません！3

#112 ページ12

もちろん、確信はないけれど……。

わざわざ自分の持ち物を傷つける理由はないし、今朝、校門までついてきて欲しくなかったのって、ジュンフィさんにいじめられている事を知られたくないと思っているとか？

全て憶測だけど、ここでいい子を演じて、いじめられたストレスを同性でナメられやすいわたしにぶつけているのだろう。

ハナちゃんは体を震わせている。

おそらく、泣くのをこらえているのだろう。



「いじめられて、それをジュンフィさんに知られたくなかった？ いじめられている事は恥ずかしい事じゃない。100％いじめる側が悪いんだよ」

「……が、助けてくれる」

「なに？」



声が小さすぎて聞こえなかったので、膝に置いていたパソコンを床に置いて歩みよる。

想像していた通り、彼女は静かに涙を流していた。

わたしはそっと背中をさすってあげる。



「いじめられて、辛くてわたしにぶつけていたんでしょ。誰にも言えなくて、辛かったよね」

「……っう」



そんな小さな体で、よく耐えていたと思う。

わたしは思わず、抱きしめた。



「わたしたちがなんとかしてあげる。任せて。あなたひとりでどうにかしようとしなくていいの」

「……ごっ、ごめんなさい……ごめんなさい……」



その謝罪は、わたしにストレスをぶつけていた事に対してだろう。

「平気だってば」とわたしは彼女の頭を優しく撫でた。

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