俺の全部を好きになって【角名倫太郎】

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土曜日、練習試合が始まった。




「練習試合あるから見に来て欲しい」って言われたんやけど、と友だちに相談すると、「角名くんから言われたら行く以外の選択肢ないって」と強めに言われて行こうと決めた。


本当は行きたいわけとちゃうけど、やっぱり彼氏やから。





「全然わからん……
あれは宮ツインズで角名、どこ？」




1人でブツブツ言っていると隣から侑くんかっこいい！とかそういう類の話が聞こえてくる。
そう言えば来ているのは私1人だけでなくバレー部のファンも来ているのだった。
大半は校内大人気の双子「宮ツインズ」のファンでうちわを持っている人もいた。



少し見渡すと角名のファンもいて、「角名は私にゾッコンやけどな」と声には出さず自慢する。角名の顔以外好きじゃないくせに。

まあ角名の彼女には変わりないしいいやろ。




コートに視線を戻すと角名がブロック？をして点を取っていた。
それは素人目から見てもすごくて、やっぱりうちのバレー部は強豪でそこにレギュラー入りする角名って凄いんやなと実感した。



チームメイトに褒められている角名と目が合う。
角名はこっちを見て笑顔を見せた。
隣から「きゃっ」と小さく聞こえた、違う、あれは私に向けたものだ。



ちょっとだけマウントを取るつもりで角名にピースサインをする。
角名はまた嬉しそうな感じを見せるとまた真剣な顔になって「私の彼氏」から「稲荷崎高校男子バレー部」に変わる。





スポーツ観戦とか好きじゃないけどたまにはいいな。





「角名、がんばれ」




隣の女子にも聞こえないぐらい小さく呟いた。

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