鬼が25匹 ページ29
陸side
「この間、俺といち兄と乱で万屋に行ったんだ」
そういえばそんなこともあった、と楽しそうに出掛けた3人の姿が脳裏に甦る。
確か、信濃と後藤の極祝いを買いに行ったんだったか。
唐突に始まった、あまり関連の無さそうな話に戸惑う。
そんなことはお構いなしと二人は話を続けた。
「その道中、童子切とすれ違ったんだが。 __あのときと同じようにとても冷たい瞳でこっちを見ていてな」
「おそらく、無意識だったのでしょう。口元は上がっていましたから」
目は口ほどにものを言うってことか……。
続きを促す。
「だが童子切は乱もいち兄も俺っちも、別に嫌っちゃいないと思う」
それはそうだと思う。
乱は昔からの付き合いがあるし、一期も薬研も嫌われてはいない。
そこは見ててわかる。
大体あいつは短刀並みに人懐っこいからな。
「この話と今までの様子から、分かることが……と言っても推測だがな、ひとつある」
分かるか？大将、とでも言うようにこちらを見上げてくる。
この一週間、童子切が反応を示した男士たちは何もしていない上に、覚えさえもないと言っている。
薬研と乱、一期も同様に。
ならば、何だ……。
ん……、待てよ……？
「骨喰と鯰尾、愛染と明石、にっかりと数珠丸、堀川と山伏……！！」
「そうか……、姉者はだからっ……！」
源氏兄弟も分かったようだ。
「だから、童子切はあいつらに反応してたんだな。あいつが冷たい瞳を向けた対象は__」
"兄弟"だ__。
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作者名：おきな | 作成日時：2018年4月5日 15時
