鬼が22匹 ページ26
陸side
ポカーンと、何のことだか分かっていなさそうな童子切。
その顔を横目に和泉守は怖い顔した刀剣たちに囲まれた。
はは、自業自得だな。
「ちょっと、和泉守さん！どうして言っちゃったのっ！」
「兼さん……」
「わ、わりぃ！」
呆れた、それでも楽しそうな皆。
「……」
冷たいような、悲しそうな顔をした童子切。
いつもの笑顔は鳴りを潜めて、ただただ皆を見つめている。
その瞳に光はない。
「__」
微かに動いた口から放たれた言葉は小さすぎて、俺の耳には届かなかった。
「童子切、どうした？」
「っ、え？なにがー？」
ついさっきまで浮かべられていたあの表情はまるで夢のように跡形もなく消え、今は只、いつもの誰もが見とれる朝焼けのような美しい笑顔だけがある。
「そっけないかー。多分疲れてたのかな、ごめんねー」
その一言に、大広間には安堵が広がった。
「なんだー、良かった！ボク、きりに何かしちゃったのかと思ったよ」
「ごめんねー、乱」
「大丈夫か……？」
「骨喰も、ごめんねー。本丸にも慣れてきたから、大丈夫だよー」
すっかりいつも通りの童子切。
だが、何かがおかしい__。
違和感は、前から感じていた。
「姉者は本当に大丈夫なのだろうか」
「う〜ん、何か違うよね、弟丸」
「兄者っ……！」
「何か変じゃないか？いち兄」
「そうだね……。疲れていただけとは思えないけれど」
俺はまぁ審神者らしくはないが、この本丸に来る奴には笑顔で楽しんでほしいと思う。
「お前ら、調べるぞ」
そのために、ここはいっちょ頑張るとするか。
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作者名：おきな | 作成日時：2018年4月5日 15時
