望くんと彼女。

15-3.露天風呂と経験値 ページ24

〆．



顔を見られたくないのに、望はそれを許してくれない。



「泣きそう」



「だって……ッ！」



「いじめたくなるから、やめてや」



ちゅ、って。キスは優しいの。何これ。



「……録ってるんでしょ？」



「当たり前やん。それも俺の興奮材料やから」



「ばか、」



望が胸元に顔をうずめた。



「やっ、！」



「いつも、記憶からAの体引っ張ってきてたけど、目の前にあるなんてなぁ……」



「望の、オカズ………やっぱり私なの？」



「A以外おらんやろ？」



「っ！」



望、慣れてるんじゃないの？ってくらい、気持ちいい。



聞けば「妄想の中で予行演習ばっちり」とのことなので、多分経験値は付き合ったあの日だけなんだろうけど。



「Aが、俺から離れられへん体になればええなって思ってて。心は俺のもんやん？体も求めてほしかった」



「そんなの……っ」



さっきから、ちゃんと声が出ない。



話そうとすれば、変な声になっちゃうんだもん。



吸い付いたり、舌を使ったり、指だったり。



上半身ばかりを弄ばれているのに、下半身までうずいてしまう。



そんな私に気付いてか、湯船のふちに座るよう促した。



「脚、広げて？」



「っ、」



首を横にする。だって、そこの目の前に望の顔があるんだもん。



「ええ……でもA、気持ちよくなられへんで？」



それも、やだ。



「意地悪だよ……っ」



「好きすぎていじめたくなんの。これは、可愛いAが悪いんちゃうん？」



「………………」



それでも私が動かないからか、望は一度、先ほどの向かい合って座る態勢に戻った。



「肩までお湯に浸かってな？」



「……………ん」



呆れられちゃったかな。もうしないのかな。



物足りなさに眉を下げると、望がそのまま抱き着いてきた。



「望……？」



最初戸惑っていたけれど、そのあと迫る快感に、



お湯の中なのに鳥肌が立った。



〆．

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